ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ29)

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「……信じて、たのに、な…」

放課後の校舎裏、人目のつかないところに私は心身ともにぐちゃぐちゃになりながら、蹲っていた。

私には半年付き合っている大好きな彼氏がいた。

一目惚れだと言って彼が告白してくれ、付き合ってからは毎日楽しくて幸せだった。

でも今日、たまたま忘れ物を教室に取りに帰った時、

「なあなあ、最近Aとはどうなんだよ」

「あー、A？飽きた。

半年も付き合って1回も好きにならなかったからな、あいつは顔だけ。」

「ほんとお前クズだな～！！」

私の彼氏とその男友達数人が楽しげに話しているのを聞いてしまった。ショックのあまり私は、手に持っていた鞄をドサっと落とし、そのままここまで走ってきてしまったのだ。

でもそんなことはどうでも良くて、ただ今は泣くことしか出来なかった。

「あ、あの…Aさ、ん…」

何となく聞き覚えのある声にゆっくりと顔を上げると、そこにはあたふたした辻くんがいた。

慌てて目元を擦り、「ごめんね、変なところ見せて。どうしたの？」と笑いかけると「こっ、これ…」と先ほど私が置いていった鞄を渡してくれた。

「あ、わざわざありがとう。ごめんね。」

そう言って鞄を受け取っても辻くんはその場に立ったままで

「…だ、だぃじょ…ぶ…じゃ、な、ないよね」

と視線をキョロキョロさせたまま気にかけてくれた。

「辻くん、女の子苦手なんだよね？もう暗くなってきたし…私は大丈夫だから、ありがとう」

「………」

私がそう言うと、辻くんは無言のまま私の隣の地べたに体育座りをした。辻くんの行動に驚きつつも「制服汚れちゃうよ…？」と声をかけるが、コクリと頷くだけだった。

「お、おれの…ことは…気にしな、ぃで…ぃいから…」

「辻くんも教室の私の話、聞いてたの…？」

「う、ん…。人の気持ちを、弄ぶのは…最低だ、と、思う。」

「何も分かってなかった私もいけなかったんだよね。私が好きで、好きだった…から…。

って…ご、ごめん…泣きそう…」

こみ上げてくる涙を抑えることは出来ず、再び蹲ると、励ましてくれているかのように何度か私の頭の上に手が置かれた。