[カゲプロ]キド・カノ・セトの妹。

カイエンパンザマスト・１２ ページ43

「…ところで団長さん！」
「何だ？」
すぐ脇には、カノが倒れている。
…もう言わずとも分かってもらえるだろう。
『色々』あったのだ…おそらく。
「出る時『お墓参りに行く』って言ってましたよね？ということは、今向かってる所って…」
「…察しがいいな、キサラギ」
笑うその目が、ひどく優しい。
「本当は夜にでも行こうと思っていたんだがな。どうせだったら、新しい団員の顔も見せてやろうと思ってな」
マリーの顔がほころぶ。
「わあ…！ってことは、初代団長さんのところに行くの？」
「ああそうだ。そういえば、マリーも初めてだったな」
「初めて！」
頷くマリーの横で、モモもまた嬉しそうだ。
「初代団長さんかあ…！ど、どうしよう…何か緊張してきた…っ」
…ひょっとすると、もう少し違う感情かもしれない。
「どんな方だったんですか？その人」
「う〜ん…」
エネの問いに、カノは少し考える。
「…バカみたいにいい人だった、かな。怒るとすっごく怖かったけど」
「お前は特に怒られてたからな」
「おお……思い出すと寒気が」
大げさに腕をさすってみせるカノに、マリーが不安そうな表情を浮かべる。
「そんな怖い人だったの？」
サクが苦笑する。
「まあ怒ると、ね。いつもはすごく優しくて明るい人だったよ。ね、キド姉」
「そうだな…強いて言えば、強い人だったかな」
夕暮れ時の海沿いを、静かに歩いていく。

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