メカクシコード・１５ sideキド ページ29
キサラギの『作戦』は成功した。
それは確かだ。
だというのに･･･。
「逃げるぞ！」
「逃げましょう！」
･･･どうしてこうなった。
いや，違うな。原因は分かっている。
「お前のせいだろうが！さっさと立て！」
「痛っ！ねえ『手加減』とか『いたわり』って言葉知らないの！？」
うだうだと言い続けるカノをもう一度蹴り，出口へ･･･向かおうとしたところで，もう1人の存在を思い出した。
「･･･サク！何やってる，逃げるぞ！」
呼びかけにも突っ立ったまま。
足がすくんだとでも言うのか？こんな時に･･･！
「おい！？聞いて･･････っ！」
･･･動けなかったんじゃない。動かなかったのだ。
放心状態とか腰が抜けたとかパニックとかそういうんじゃなく。
ただ純粋に,『必要がなかったから』動かなかっただけなのだ。
「･･･いつだ」
問いかけにも動くことはなく，どこかぼんやりとした焦点の合わない瞳で警察の方を見ている。
いつもと明らかに違う雰囲気のまま，サクはお告げか何かのように答えた。
「すぐ。そんなに長くないと思う。
見逃さないで」
･･･キサラギが『自分に注目を集める』だけでなく『注目させる』『注目している方向が分かる』ように，サクの『目を逸らす』能力も他の使い方があるらしい。
『視線が逸れるタイミングが分かる』のだそうだ。
今のように，ふとした瞬間,『いつ』『誰が』『どの程度』視線を逸らすのか，ひらめく。
能力というよりは体質，に近いかもしれない。
いつも突然で，これだけはどうしても制御できていない。
数秒も経たないうちにざわめきが起こり，反射的に能力を使う。
上手いこと見えなくなったようだ。
「･･･さ，行くぞ」
声をかけると，サクはいつも通りの笑顔を浮かべた。
「うん！お〜い，桃ちゃ〜ん！」
「うわっバカ！大声出すな！」
本っ当にいつも通りだな。世話が焼ける･･･。
「あはは，ごめんごめん！」
叱っても全くこたえた様子がない。前はすぐすねたんだが･･･まあいい。こいつも，成長してるってことだろう。
「ほらキド姉，早くってば!!」
「だから大声出すな!!」
･･･成長，だよな･･･？
A girl looking away from reality・1→←メカクシコード・１４
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白雪 - 尊いですわ。 (2019年8月9日 21時) (
レス) id: 03f6bf06e7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - yryoukayさん» コメントありがとうございます！長い間返せなくてすみません、こっちの方はしばらく見ていなくて…。頑張ります！ (2017年4月9日 10時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
yryoukay(プロフ) - 凄く面白いです！これからも頑張って下さい！ (2017年3月15日 22時) (レス) id: 4393c94d6c (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - ﾍﾟﾝﾈｸﾞﾗﾀﾝさん» いえいえ！ (2016年11月23日 14時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 二次元ちゅーどくさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しい＆ありがたいお言葉…！こんなので良ければ、どうぞ和んでください♪ (2016年11月23日 14時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霜奈 | 作成日時：2015年8月31日 9時
