許嫁で純愛【呪術廻戦】

四十五本 ページ46

no side





──────虎杖が生き返る少し前。





「許可なく見上げるな。不愉快だ、小僧。」


「なら降りてこい。見下してやっからよ。」





辺りは薄暗く、大量の骨と水に覆われていた。





「随分と殺気立っているな。」


「当たり前だ。こちとらオマエに殺されてんだぞ。」


「腕を治した恩を忘れるとはな。」


「その後心臓取っちゃったでしょーが！！」





叫ぶ虎杖は足元にあった頭骨を掴み
丁度いいや、と呟く。





「泣かす！」





そして頭骨をぶん投げた。
頭骨は宿儺の座っている辺りに直撃する。





「！」





もちろん宿儺は跳躍して避けたが、
そこに虎杖が走って登ってくる。





「歯ぁ食いしばれ！！」


「必要ない。」





ゴン、ガン、と拳がぶつかり合い
虎杖が大きく腕を振りかぶる。


相殺しようと宿儺も拳を突き出すが
虎杖の拳は足元を力強く打ち付けた。





「(ハナから足場を……)」


「ひっかかってやんの！」




ヒュ、と手で体を押し
虎杖は宿儺へ蹴りを入れる。




が、宿儺はヒラリとかわす。
どころか虎杖の背後に立っていた。





「アレ？」


「オマエは(・)つまらんな。」


「ぐぇっ、」





宿儺は虎杖を蹴り落とす。
虎杖は下の水へと落下していった。




「ぷはっ、完ペキ入ったと思ったのに、う"ぼっ、」




顔を上げた虎杖の背中に宿儺が飛乗る。
そして宿儺はそのまま話し始めた。




「ここはあの世ではない。俺の生得領域だ。」


「……？伏黒が言ってたような……」


「"心の中"と言い換えてもいい。
つまり、俺達はまだ(・・)死んでいない。」




宿儺はニヤリと笑って虎杖を見る。




「オマエが条件を呑めば
心臓を治し生き返らせてやる。」


「偉っそうに、
散々イキっといて結局テメェも死にたくねぇんだろ。」


「事情が変わったのだ。
近い内、面白いモノが見れるぞ。
……それにやりたいこと(・・・・・・)もある。」


「？」




宿儺はとりあえず、と２本指を立てる。




「条件は２つ。
１、俺が「契闊」と唱えたら1分間体を明け渡すこと
２、この約束を忘れること。」



「駄目だ。
何が目的か知らねぇがキナ臭すぎる。

今回のことでようやく理解した。
オマエは邪悪だ。もう二度と体は貸さん。」



「ならばその１分間、
誰も殺さんし傷つけんと約束しよう。
これでいいだろう。はーうざ。」



「信じられるか！！」





虎杖の言葉に宿儺は再び口を開いた。

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