. ページ7
no side
「ひっ、ひぃ!!やめ、助けてッ……!!」
「く、来るなぁ!!」
最終選別が始まる前
Aの背中を叩いた少年たちだった。
鬼が鋭い爪を振りかぶる。
「「ぎゃあああッ──────」」
『全集中……木霊の呼吸【壱ノ型・樹冠の遠慮】』
ザワ、と風が動いて
直線的な斬撃が鬼の頸を落とす。
「おっ……お前は……!」
「さっきの……」
Aはすとん、と着地して二人を見る。
『…………大丈夫ですか?』
「ッ……!!」
「あ、ああ…………」
決まりが悪そうに顔を逸らす二人。
Aはそんな様子を一瞥してすぐに背を向けた。
『……それじゃ』
「あ、ありがとう!!」
「さっきはごめん!!」
去りゆくAの背中に声がかけられる。
Aは軽く手を挙げて再び走り出した。
──────この二人はAに惚れたとか何とか。
ちなみにAが女だとは気付いていない。
.
『だいぶ鬼を斬ったなぁ……』
すでに六日目に突入していた。
Aは綺麗な水辺で水分補給をし立ち上がる。
『…………!』
風に乗って嫌な匂いが鼻をつく。
どうやら強い鬼のようだ。
Aは口元についた水を拭い
どうするべきか考える。
『誰かが襲われているなら行った方が良いけど……
違うなら無駄に関わるのもなぁ……』
耳を澄まして物音を探る。
少しでも悲鳴が聞こえたら駆け付けられるように。
「今年は面をつけた奴は居ないのかぁ……?
俺の可愛い狐は………………!!」
怒っている、というよりも
楽しそうに喚く鬼の声がする。
『狐……』
Aの脳内に狐が浮かぶ。
そこでAはハッとして目を見開いた。
『狐と言えば鱗滝さんなのでは……!?』
そう思いついたのもそのはず。
芽吹に(無理やり)連れられ
鱗滝と出会ったAは狐面について聞いていた。
『確か鱗滝さんも"育手"の一人だった……
"継子"は皆この最終選別で亡くなってるとか……』
Aの瞳に冷たい殺気が宿る。
『大事な人を……殺されるのは苦しいよね』
そう呟いてAは勢いよく駆け出す。
木の根を飛び越え岩から岩へ飛び移る。
その途中で会った鬼の頸は寸分の狂いなく
『…………いた』
Aは刀を抜いて
走る勢いのまま鬼に斬り込んだ。
619人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
邑 - 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時