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no side




「ひっ、ひぃ!!やめ、助けてッ……!!」

「く、来るなぁ!!」





最終選別が始まる前

Aの背中を叩いた少年たちだった。





鬼が鋭い爪を振りかぶる。





「「ぎゃあああッ──────」」

『全集中……木霊の呼吸【壱ノ型・樹冠の遠慮】』





ザワ、と風が動いて

直線的な斬撃が鬼の頸を落とす。





「おっ……お前は……!」

「さっきの……」




Aはすとん、と着地して二人を見る。




『…………大丈夫ですか?』

「ッ……!!」

「あ、ああ…………」




決まりが悪そうに顔を逸らす二人。

Aはそんな様子を一瞥してすぐに背を向けた。




『……それじゃ』

「あ、ありがとう!!」

「さっきはごめん!!」




去りゆくAの背中に声がかけられる。

Aは軽く手を挙げて再び走り出した。




──────この二人はAに惚れたとか何とか。

ちなみにAが女だとは気付いていない。




.







『だいぶ鬼を斬ったなぁ……』






すでに六日目に突入していた。

Aは綺麗な水辺で水分補給をし立ち上がる。






『…………!』






風に乗って嫌な匂いが鼻をつく。

どうやら強い鬼のようだ。





Aは口元についた水を拭い

どうするべきか考える。





『誰かが襲われているなら行った方が良いけど……
違うなら無駄に関わるのもなぁ……』





耳を澄まして物音を探る。

少しでも悲鳴が聞こえたら駆け付けられるように。





「今年は面をつけた奴は居ないのかぁ……?
俺の可愛い狐は………………!!」





怒っている、というよりも

楽しそうに喚く鬼の声がする。





『狐……』





Aの脳内に狐が浮かぶ。

そこでAはハッとして目を見開いた。





『狐と言えば鱗滝さんなのでは……!?』





そう思いついたのもそのはず。





芽吹に(無理やり)連れられ

鱗滝と出会ったAは狐面について聞いていた。





『確か鱗滝さんも"育手"の一人だった……
"継子"は皆この最終選別で亡くなってるとか……』





Aの瞳に冷たい殺気が宿る。





『大事な人を……殺されるのは苦しいよね』





そう呟いてAは勢いよく駆け出す。





木の根を飛び越え岩から岩へ飛び移る。

その途中で会った鬼の頸は寸分の狂いなく()ねる。






『…………いた』






Aは刀を抜いて

走る勢いのまま鬼に斬り込んだ。

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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
- 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時

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