陸拾肆 ページ49
no side
「…………父上？」
杏寿郎は家に入ってすぐ立ち止まった父、
槇寿郎に声をかける。
「………………、」
槇寿郎は背を向けたままそっと口を開いた。
「………………よく、帰って来た。
…………………………………………頑張ったな」
それだけ言うと槇寿郎は素早く自室に入った。
目を瞬かせていた杏寿郎は
しばらくしてから嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます！！父上！！」
槇寿郎の部屋の前で礼をする杏寿郎。
千寿郎も嬉しそうに様子を見ていた。
.
それから数刻後。
杏寿郎がリハビリを兼ねて外出した。
「……」
「あっ……父上！
あの……少しお尋ねしたいことが……」
槇寿郎はチラリと千寿郎を見て
目線で話せ、と伝える。
「父上はAさんと仲が悪いのですか……？
いつも喧嘩なさっていて……」
「…………仲が悪ければ来ないだろうアイツは」
「で、では何故あんな喧嘩を……？」
「……アイツは"樹柱"と被る。
何でも見透かしたように飄々とするのがな」
槇寿郎はムッとした様に呟いた。
「見透かしたように……」
「アイツが何故、家に来たか分かるか？」
「え、そ、それは…兄上の付き添いでは……？」
槇寿郎は黙って首を横に振る。
「アイツは俺を杏寿郎と話させる為に来た」
「えっ」
「俺が杏寿郎と話さないのを見越して来たんだ。
アイツ次会ったら許さん」←
「そ……だったんですね……
Aさんは矢張り凄い方ですね、父上！」
「女とは思えん言動ばかりだがな」
「おっ……！？
Aさんは女性なんですか！？」
「…………聞かなかったことにしろ」←
「ええっ！？」
かなりの機密情報を漏らした煉獄槇寿郎。
まぁAも隠している訳ではない……と思うので
多分だけど大丈夫だろう。多分だけど。
「ただいま帰りました！！
……どうしたんだ千寿郎？」
「あっ……えっと、あの……
………………何でもありません！！」
「よもや！！千寿郎が隠し事を……！！
何か困っているなら話を聞くぞ千寿郎！」
「だっ……大丈夫です！！
Aさんのことは秘密にしますから！」←
「Aさん……？」
「ハッ！！兄上！聞かなかったことして下さい！」←
もうワタワタである。←
「Aさんの事ならAさんに聞くのが一番！
俺の鎹鴉に頼むといい！」
杏寿郎は優しい兄である。←
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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます！！長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……！芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー！！ (2020年2月2日 18時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
邑 - 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2020年1月26日 21時
