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『それで……お師匠、大事な話とは?』

「…………」




芽吹は難しそうな顔をして黙っていた。




『お師匠……?』




Aの催促の声に重々しく口を開いた。




「俺が、お前を"継子"にしたのは
立派な鬼殺隊員に……俺の後継にするためだ」

『それは知ってますが……』




でも、と芽吹はAを見る。

それは心配と慈愛の眼差しだった。




「Aが独りでいるのを放っておけなかった。
俺も独りだったから、辛いのをよく知ってるからな。

二年間、Aと過ごして……
俺はお前を戦いに送り出すのが怖くなった。

お前が怪我をして帰ってくるのが……
否、帰って来なくなったら、俺はどうすれば良い?

自分の勝手な判断でAを鬼殺隊に引き入れて
Aの未来を奪ってしまったら……と考えると
俺は、本当に辛くて苦しいんだ」




Aは目を見開いた。

こんなにも、自分を思ってくれていたのか。

傷だらけで身寄りの無い子だった自分を。




『お師匠…………
私は、私の判断でお師匠の"継子"になったんです。

鬼殺隊に入るなら怪我はつきものでしょう?
お師匠だって古傷、沢山あるじゃないですか。

大丈夫ですよお師匠!
私、絶対に死にません!必ず帰って来ます!
なんせ私はお師匠に勝ったんですから!』




むん、と胸を張るA。

その自信満々な様子に芽吹も思わず苦笑する。




「ったく……あんなに根暗少女だったくせに……
分かったよ。Aを信じる。
よしA!来年の最終選別に向けて頑張れよ!」

『おうともさ!!』




話は終わりかと思い立ち上がるA。

芽吹はその腕を引いた。




「ちょっと待った!あともう一つあるんだ」

『?』




芽吹は視線をウロウロさせた後に口を開いた。




「その……な、お前が嫌じゃなきゃで良いんだけど」

『何か今日のお師匠は珍しいです。なんですか?』




芽吹はガッ、とAの手を握る。




「……俺の養子にならねぇか?」

『!』

「Aが「血野」と名乗る時、辛そうでよ。
養子になれば……その、辛くねぇかな、って」




頬をかく芽吹。

何日も悩んだ結果の提案だった。




「苗字は大事だから簡単に捨てられねぇのは分かる。
よく考えて答えてくれ。
勿論、断ってくれて構わないからな」




じゃ話は終わり、と席を立つ芽吹。

今度はAがそれを止める番だった。

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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
- 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時

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