卌肆 ページ29
no side
車掌は切符にパチン、パチンと鋏痕を付けていく。
Aも素直に切符を渡した。
.
『お師匠!?』
「Aか!お帰り!!」
Aは大きな藤の木の横を通り過ぎ
師匠の
『お師匠、ごめん、ごめんなさい!
鬼舞辻無惨を斬れなかったの!目の前にいたのに!』
「何を言ってるんだ?鬼舞辻無惨って誰だよ。
変な奴だなぁ!!はっはっは!!
それより飯にしよう!山菜ご飯を作ったんだ!」
芽吹はAの手を引いて歩いて行く。
Aは不思議そうに芽吹の後に着いていく。
そんな二人を見ている者がひとり。
手には錐を持っていた。
「本体は家に入ったわね……
これで暫くは出て来られないわ……」
少女は踵を返して山を下る。
「"夢の端"はここね……」
山を降りきったところで見えない壁に突き当たる。
少女はその壁に思い切り錐を突き刺した。
ビリビリと音がして壁は布の様に破れていく。
裂け目からは新しい景色が広がっていた。
「何、この"無意識領域"……!気味が悪いわ……
赤い草原なんて見たことない!」
そこは草原だった。
ただし草は赤い。土も赤い。そして湿っている。
さらに草原の先には森があった。
そこは普通の森に見えた。きちんと緑だった。
「ッ……草原には無さそうね……
これだけ広いと浮いている"精神の核"は見やすい筈」
少女は足場の悪い草原を走る。
変に広い"無意識領域"だった。
少女はひたすら走って森に駆け込む。
森は暗かった。
「どこにあるのかしら……」
少女は思わず立ち止まって森を見回す。
刹那、少女に声をかける者がいた。
『ねェ』
「!!」
バッと振り向いた少女の目に映ったのは"A"。
髪を結い上げていて、黒い服を着た"A"。
「アンタは……何でここに!!」
『よく見て?最初に見た子は白い服でしょう?
私は黒い西洋の服を着ているわ』
確かに先程のAは白い着流しだった。
しかし顔立ちはそっくりである。
「ッじゃあ!誰なのよ!
ここは"無意識領域"!人はいないはずでしょ!!」
そう叫ぶ少女に"A"は笑う。
『私はA。Aは私。
Aだから、私だから、ここにいる』
「は……!?」
"A"は面白そうに笑った。
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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
邑 - 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時