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貴女side





『ガハッ…………!!』





苦しい。

足が、屋根につかない。





「貴様……Aと言ったか?
師匠を殺し、泣き喚いていたにも関わらず
刀を離さぬ度胸を汲んで今回は見逃してやろう」

『ッ……ふざ、けるな……』





ギュ、と刀を強く握る。

酸欠で、感覚が薄れていく。






「だが……A、一つ提案がある。
貴様も鬼になる気は無いか?」






は?





「鬼になれば全ての悲しみを忘れられる。
悲しむ者の気持ちなど私の知ったことではないが
それが苦しいのならば鬼になれば良い」





本物の、馬鹿とはコイツのことをいうのだろう。


それともこれがコイツなりの気遣いか?


そうであるなら笑止千万。





「貴様の師匠は最後まで拒んでいたが……
彼奴の力量を気に入ったので無理やり鬼に変えた。


貴様は彼奴に力は多少劣るものの素質はありそうだ。


容姿も捨てたものではない。
鬼になれば人望は得られるだろうな」





褒めている、つもりなのか?

ギリ、と歯が鳴る。





『私は、鬼には……ならない……!!
お師匠にッ、生きろと言われたから……!!!』






首が捻じ切れそうになるのを感じながら

身体を勢いよく捻り刀を横に振る。






「……残念だ。もう少し猶予をやる。
次会う時までに今一度、考えておけ」






ほんの少しの手応え。






霞む視界に目を凝らせば

僅かに鬼舞辻無惨の頬が斬れていた。






『ケホッ……次はお前の頸を斬るだけだ』






ごめんなさいお師匠。

今の私では、コイツには勝てない。






『…………ッ失せろ、鬼舞辻無惨』






鬼舞辻は鼻で笑い背を向けた。

アイツの黒い背広は夜の闇に溶けていった。






『…………ゲホゲホッ、くそ……くそぉ……!!
お師匠……ごめんなさい、お師匠…………ッ!!
鬼舞辻を、斬れなかった……!!』







身体が重力に従って落ちる感覚。







嗚呼、しまった。







均衡(バランス)を崩してしまった。

屋根から落ちる。







駄目だ、力が入らない。






受け身が、取れない。






まだ、死ねないのに。






鬼舞辻無惨を倒すまでは──────









「A!」









お師匠の声……?








「諦めんな!」








別に、諦めてなんか……

力が……入らないだけで…………









.









「お前なら出来る!!」

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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
- 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時

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