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貴女side
『うああッ……うわあぁぁぁぁああああ!!!!!』
喉が痛い。
喉が裂けてしまいそうだ。
『あぁぁぁああああ──────』
なのに、声も、涙も止まらない。
「A……頑張れよ……」
サラサラと鬼が消える時の様にお師匠も消えていく。
「俺は……ちゃんと、傍に居るから、な」
最後の欠片に手を伸ばすも
それはあっという間に月光の中に溶けていく。
嗚呼。
大切なものを得る為には長い年月がいるのに
どうして失う時は一瞬なのだろう。
『ああ…………お師匠……お師匠ッ…………!』
土間に落ちたお師匠の羽織。
綺麗な翡翠色に銀糸の模様が血で汚れている。
それを抱き寄せさらに泣いた。
『!』
微かに残る血臭の中に鼻を刺すような嫌な臭い。
これは、何だ?
思わず刀を掴んで外に出る。
目の前には何もいない。
ただ月の光が小さな庭を照らしているだけ。
臭いはどこから…………?
スン、と鼻を動かせばその元は頭上のようだ。
『ッ!?誰だ!!』
屋根の上に誰かいる。
白っぽい帽子をかぶった男だ。
「己の師匠をも斬る度胸……実に面白い。
良いものを見せてもらった」
『誰だと聞いている!!』
夜の暗闇でも分かるくらい冷たくて、紅い瞳。
まさか、コイツが──────
『鬼舞辻、無惨か…………?』
そう言った途端、男は笑った。
「
何故、そんな笑顔でいられる!!!
『私の名は樹ノ守A!!
お前が鬼にした樹ノ守芽吹の娘だ!!!』
こいつのせいで!!
こいつのせいで大事な人を失った!!!
『私はお前を許さない!!!』
勢いよく地面を蹴り屋根に飛び乗る。
そのまま刀を鬼舞辻の頸に向けて振った。
「遅いな」
『ッ何故、人を鬼にする!?
悲しむ者の気持ちを考えたことは無いのか!?』
ひらりひらりと刀を避ける鬼舞辻。
余裕そうな表情が癪に障る。
「…………無い。そんなもの、考えてどうなる?」
『ッ!!』
刀を手で弾かれる。
体勢が少し崩れたがまだいける。
グッ、と腹筋に力を入れ起き上がる。
勢いを残したまま技を繰り出したのだが
逆に私の首を掴まれてしまった。
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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
邑 - 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時