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陸拾 ページ45

no side




夜風がとある屋敷の部屋に吹き込む。




部屋には少年がひとり。

本棚から大きな本を取り出し読んでいた。






「御報告に参りました」





窓辺からそんな声が響く。

膝をつくのは刺青のような模様が入った男。






「無惨様」





そう呼ばれた少年は

ビキビキと瞳の色が赤くなっていく。





例のもの(・・・・)は見つけたのか?」


「調べましたが確かな情報は無く
存在も確認できず──────…………
"青い彼岸花"は見つかりませんでした」


「で?」





少年────無惨から低い声が漏れる。





「無惨様の御期待に応えられるよう
これからも尽力致します。
ご命令通りとは言い難いかもしれませんが
柱の一人は戦闘不能にして参りましたので
御安心くださいますよう……」


「お前は何か思いちがいをしているようだな。
猗窩座」





無惨はスっと人差し指で猗窩座を指す。

ミシッと嫌な音が猗窩座の体から響いた。





「たかが柱……
それを始末したから何だと言うのか?
鬼が人間に勝つのは当然のことだろう。

私の望みは鬼殺隊の殲滅。
一人残らず叩き殺して
二度と私の視界に入らせないこと。

複雑はことではないはずだ。
それなのに未だ叶わぬ……どういうことなんだ?」





ビリビリと本を破く無惨。

猗窩座の体にはヒビが入っていく。





「お前は得意気に柱を潰したと報告するが
あの場にはまだ四人の鬼狩りがいた。

なぜ始末して来なかった?
わざわざ近くにいたお前を向かわせたのに……
猗窩座、猗窩座。猗窩座!猗窩座!!」





猗窩座は思い切り吐血をする。





「お前には失望した。
まさか柱でもない剣士から一撃を受けるとは。
"上弦の参"も堕ちたものだな」





ピク、と反応する猗窩座。

しかし無惨は更に言葉を続けた。





「だが……今回は、今回だけは許してやろう」


「!」


「あの場にAがいたことに免じて、だ。
彼奴は面白い。人間のくせにこの私を楽しませる」





無惨は珍しく楽しそうに歯を見せる。

まるで玩具を与えられた子供のように。





「……下がれ」





無惨の言葉に猗窩座は大人しく部屋から離れる。





猗窩座は庭木に刺された炭治郎の刀を砕き

自分の腕ごと絡み付いたツタを引きちぎった。





「貴様の顔…!!覚えたぞ小僧!
次会った時はお前の脳髄をぶちまけてやる!!!」

陸拾壱→←伍拾玖



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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
- 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時

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