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伍拾 ページ35

no side





凄まじい断末魔と揺れが乗客を襲う。

Aはひたすらに技を出し続けた。




少し離れた車両では煉獄も同じように

技を幾つも出していた。




『皆は無事……!?』




横転した汽車から出たAは

近くの乗客を助けながら周りを見る。




「Aさん!!」

『杏寿郎、無事だったか…!』




煉獄はAの無事を確認してから

前方車両の方へと駆けて行った。

Aもある程度の救助を終え、後を追う。





「皆無事だ!怪我人は大勢だが命に別状は無い。
君はもう無理せず……」





ドォン、と派手な音がして

煉獄と横になる炭治郎の背後に土煙が立つ。

Aも急いで2人に駆け寄った。





再び大きな音がすると鬼の姿は消えていて

Aの目の前に移動した鬼はそのまま拳を振った。




『わぁ』




気の抜けた声を上げてAは上体を反る。





鬼は片脚で炭治郎を踏もうと踏み出すが

即座に煉獄が呼吸を使った技を繰り出した。





「いい刀だ」





距離を取った鬼が傷を舐めながら言った。





「なぜこの人と手負いの者を狙った?
避けられるのが分からなかったのか?」


「話の邪魔になるかと思った。俺とお前の」


「君と俺が何の話をする?
初対面だが俺はすでに君のことが嫌いだ」


「そうか。俺も弱い人間が大嫌いだ。
弱者を見ると虫唾が走る」





上弦の参はニヤリと笑いながら煉獄を見る。





「俺と君とでは物事の価値基準が違うようだ」


「そうか。では素晴らしい提案をしよう」





楽しそうに言う鬼。

Aは黙って成り行きを見ていた。





「お前も鬼にならないか?」


「ならない」


「見れば解るお前の強さ。柱だな?
その闘気、練り上げられている。
至高の領域に近い(・・・・・・・・)


「俺は炎柱 煉獄杏寿郎だ」


「俺は猗窩座。杏寿郎、なぜお前が
至高の領域(・・・・・)に踏み入れないのか教えてやろう」





猗窩座は煉獄を指さす。





「人間だからだ。老いるからだ、死ぬからだ」





猗窩座はなお続ける。





「鬼になろう杏寿郎。そうすれば
百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。強くなれる」





炭治郎は少しだけ顔を上げ加勢すべく刀を探す。

それをAは軽く制す。





炭治郎はハッとしてAの顔を見る。

Aはただただ無表情だった。






それはまるで、

お前は手を出さなくて良い、とでも言うように。

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沙羅(プロフ) - 邑さん» コメントありがとうございます!!長らくお付き合い頂いて本当に嬉しいです……!芽吹お師匠のところは私も書いてて泣きそうでした……今後は宇髄さん以外にも沢山の方が登場予定なので、ぜひよろしくお願いしますー!! (2020年2月2日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
- 前編から読ませて頂いています、凄くこの作品好きです!!師範のところ、もう、涙がぼろぼろでてきました...!! (2020年2月2日 17時) (レス) id: 451c1f62e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年1月26日 21時

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