【文豪ストレイドッグス】ヨコハマの駄菓子屋さん (ページ37)

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駄菓子が三十四こページ37

貴女side

午後六時の鐘

貴女『閉店の前に掃除をしないと』

引き戸を開けて外へ出る

冷たい外気に触れて眠気が覚めた

箒(ほうき)で店の前をはく

すると右側から何かが落ちる音がした

それも重たい何かが

地面にぶつかる音と水音もした

ビチャリと厭な音が耳に残る

ゴホゴホと咳き込む声と共に脚音が近づく

？？「貴様……今のを見たか？」

少し離れた所から発せられた声

私は正直に答えた

貴女『いいえ、何も見ておりません』

嘘に聞こえたのか

何かが腕に絡みついた

絡み付く様は布のようで、でも硬いような

私は恐怖に襲われた

貴女『これは…っ…！？』

？？「本当に何も見ていないというのか
貴様の真横で起きた事を」

嗚呼…真横で起これば疑いますよね

貴女『私は盲目で御座います、何も見えません
貴方様のお顔も見ることは叶いません』

少しの沈黙があり

腕の何かは解かれた

？？「貴様…名をなんという」

貴女『神楽木 Aと申します』

？？「中原幹部の言っていた……」

貴女『貴方様のお名前は？』

芥川「僕(やつがれ)は芥川」

貴女『芥川様ですね。…その…見た、とは…』

芥川「貴様は知らなくとも良い」

貴女『さ……左様で御座いますか』

芥川「何も感じなんだか？」

貴女『例えば何で御座いましょう』

芥川「殺気、恐怖、匂い……」

貴女『…ではこのサビ鉄の匂いでしょうか？』

芥川「それは血だ」

血… 嗚呼…どうりで懐かしい匂いだこと

芥川「驚かないのか」

貴女『…慣れたものです』

幼少の頃から馴染みが御座います、

そう云えば、また何かが絡みついた

芥川「何故だ…？盲目が馴染みあるとは…」

ギリギリと音を立てて腕にくい込む

貴女『っ……』

プツッと厭な音と共に鋭い痛みが襲う

貴女『いた……ぃ……！』

もがけばもがくほど拘束は強くなる

芥川「…答えろ、何故だ」

そんな…話せない……こんな見ず知らずの方に

私の過去なんて……話してはいけない……

貴女『どうか…ｯ…お許し下さいませ…』

気づけば脚は地面から離れていた

貴女『あくた……が…わ…さ…ま……』

芥川「…判った。もういい」

地面にドサっと落とされた

貴女『何時か…お会いした折りには…』

芥川「嗚呼……」

来た時と同じ様に咳き込みながら

芥川様は去っていかれました