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駄菓子が十九こ ページ21

与謝野side


ったく…誰も買出しに付き合ってくれなかった


そンなに嫌なのかねェ……


与謝野「ちょっと買いすぎたかねェ」


休憩でもするか…


橋の欄干に寄りかかって荷物を置く


何気なく川を見下ろすと


何時ぞやの藍色の着物が見えた

川の中に沈んでる(・・・・・・・・)


与謝野「Aッ!?」


慌てて堤防に下りて川へ入る


この際、靴が濡れたッて構わないさ


川から引き上げて顔を見ると

白を通り越して青白かッた


与謝野「A!しっかりしな!」


(あたし)だって医者さ

この時の対処法くらい判ってる


心臓の動きを確認して呼吸も確認


Aは心臓は動いているものの

呼吸は浅く小さかッた


与謝野『探偵社に連れてくよ』


そう云って濡れた着物を脱がし絞る


背中におぶるとAは氷のように冷たかッた


与謝野「まだタヒぬンじゃないよ!」


時折声をかけながら道中を急ぐ


道行く人が不思議そうな顔をして

コッチを見ていた


見世物じゃない、と心の中で悪態を付きながら


探偵社の昇降機に乗り込む


与謝野「チッ……疾くしないと……」

チンと軽く鳴り、

開きかけた扉をこじ開けるようにして外に出る


医務室の扉を思いっ切り開けて


寝台(ベッド)にAを寝かせる


上から布団を何枚か被せて

タオルで顔を拭く


水は飲んでないようだからまだ平気だ


与謝野「誰か!ちょっと手伝いな!」


大きな声で叫べば

たまたま通りかかった賢治が飛んできた


賢治「あ!Aさん!与謝野さん何が!?」


与謝野「Aが川で溺れてたンだ」


賢治「僕はなにすれば!」

与謝野「妾が湯を沸かしてる間に
目を覚ましたら水を吐くかもしれない
タオルを用意しておいてくれるかい?」


賢治「分かりました!任せて下さい!」


与謝野「頼ンだよ!」



そう云って、湯を沸かしに走る


太宰「あれ?与謝野さん如何したんですか」

国木田「…?」


与謝野「アンタらに構ってる暇は無いンだよ」


理由(わけ)は話さずに医務室を親指で指す


────

太宰「急患かな?」

国木田「さぁな。それより太宰、仕事しろ」


太宰「( ˙꒳˙ )え?ヤだよ?」


国木田「真顔で言うな阿呆!」

太宰「イタタ…耳は痛いよ国木田君」

国木田「さっさと椅子に座って仕事しろ!」


国木田「貴様はまだ書類整理があるだろ!」

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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年3月19日 16時

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