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駄菓子が十一こ ページ13

敦side


Aさんの手を引いて

街中を歩いていると


敦 「あ、賢治くん!お疲れ様!」

貴女『…?』


「あ、敦さん!ありがとうございます!」


貴女『えっと…?』


「あれ?この方は?」

貴女『あ、神楽木 Aと申します』

賢治「Aさんですか、僕は宮沢賢治です!」

貴女『宮沢様ですね、宜しく御願い致します』


賢治「敦さんはどこか行くんですか?」


敦 「Aさんを家まで送るんです!」

貴女『すみません、盲目なもので……』


賢治「それは大変ですね…」


貴女『いえ、慣れっこですよ』


笑顔で答えるAさんは強いなって思った


賢治「お家は近いんですか?」

貴女『はい、すぐそこの駄菓子屋で御座います』


賢治「お家が駄菓子屋なんて羨ましいです!」


貴女『ふふっ そんな事ありませんよ』


賢治「そうですか?」


貴女『子供達はよく来てくれますけどね』

賢治「わぁ…!今度、僕も行かせて下さい!」


貴女『本当ですか、心よりお待ちしております』

賢治「はい!ではまた!」


貴女『有難う御座いました。』


もしかしてAさんって


言うことがマニュアル化してるのかな?


同じような事を言ってはお辞儀をしてる



もう少し仲良くなって

本当の気持ちとか知りたいなぁ……


貴女『敦さん?』

敦 「あっすいません!」



Aさんがつついているのに

気づいていなかったようで……

不思議そうな顔をしてコッチを見ていた


貴女『なんか手を繋いでいるのって懐かしいです』


そうだ、彼女は親がいないんだ


いわば僕と同じ孤児なんだ


貴女『ホッとします』


微笑んだAさんはとても綺麗で


今朝、聞いた18歳というのは信じられない


敦 「寂しく…ないですか?」


貴女『寂しい?』


あぁ…なんてこと聞いたんだろ!

失礼にも程があるっ……!!


貴女『店に来てくれる子供達もいますし、
探偵社の皆様とも出会えました

寂しいなんて微塵も思っていませんよ』



この時、

ふにゃっと笑ったAさんを


絶対に守ろうと決めた時だった

────


敦 「あ、着きましたよ」

貴女『御迷惑をお掛けしました』


深く頭を下げていました


敦 「いえ、これも仕事の一貫です!」


貴女『では依頼料を払わないと…ですね』

敦 「いやっ、大丈夫ですよ?!」


慌てて阻止すると

ならば、と店の中に入っていった


そして出てきたAさんの手には

ジュース瓶が十本乗っていた

駄菓子が十二こ→←駄菓子が十こ



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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年3月19日 16時

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