ひゃくじゅうなな ページ29
貴女side
太宰「そいつの腰を見てみるといい。
旧式の拳銃を提げているだろう?」
私と作くんは倒れた襲撃者を見る。
確かに旧式の拳銃を腰に納めていた。
その拳銃は、どこか、懐かしい気がした。
貴女『……古い、欧州の拳銃?』
太宰「その通り。
そのせいで連射性と精度がお粗末だから、
この狭い路地で撃ち合うには不向きだ」
治くんはタヒ体から拳銃を取り上げ、眺める。
その様子はまるで──────
太宰「おそらくは、この拳銃は彼等にとって
自分たちが何者か示す為の」
貴女『お、治くんッ』
太宰「
何で、懐かしい気がしたのか。
何で、見たいと思ったのか。
判らない。
貴女『えっ……と、それ、見せて貰っても?』
太宰「……どうぞ」
手渡された灰色の拳銃。
矢っ張り何処かで見たことがある。
何処だ?何処で見たんだ?
誰かが、昔の記憶の中の誰かが
こうやって、手にのせて見せて──────
織田「この男達は何者だ?」
太宰「"ミミック"」
織田「ミミック?」
貴女『!!』
拳銃を落としそうになった。
"ミミック"。
それは十四年前に生まれた組織の名前。
でも、私が見たこの拳銃は、もっと前の─────
組織の長の名は知らない。
この拳銃を見せてもらったのはもっと昔。
彼等が、仕組まれた"戦争犯罪者"になる前。
貴女『私が、6歳の頃だ』
太宰「え?」
織田「A?」
名を呼ばれて我に返る。
二人の話は進んでいて、金庫を開ける直前だった。
貴女『あ……えっと、金庫、開けるの?』
織田「嗚呼。太宰がな」
治くんが針金ピンを揺らして
金庫の鍵を解錠する。
中に入っていたのは────────────
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時