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ひゃくじゅうろく ページ28

貴女side



太宰「君は全く困った男だなあ織田作。
Aさんも然り、その気になれば、
こいつらなんかひと呼吸の間に殺 せるだろうに」



軽い足取りで治くんが現れる。

まるで口笛でも吹き出しそう。



治くんが手を差し出し作くんはそれに掴まり立つ。

私も反対の手で作くんに起こしてもらった。



織田「殺したのか?」



作くんは倒れた刺客を見て云う。



太宰「うん。生け捕りにして
情報を引き出そうとしても無駄だからね。
何しろ奥歯に仕込んだ毒薬の味が
大好きでたまらない連中なんだ」



作くんは返事をしなかった。

私はそんな作くんを横目で見るだけだった




太宰「判ってるよ。
そういう意味で云ったんじゃ無いんだろう?
けどね織田作、相手は戦闘の専門家(プロ)だ。
いくら君でも、殺さないなんて無理だよ(・・・・・・・・・・・)

織田「その通りだ」




作くんは頷く。

少しだけ、機嫌が悪そうに見えた。




太宰「機嫌が悪いね。
……君の主義を曲げて、済まないと思ってる」

織田「いや、本当に助かった。
お前が助けに来なければ俺達はタヒんでいた」

貴女『ありがとう治くん』



私も慌ててお礼を云う。



太宰「織田作之助。
何があろうと絶対に(・・・・・・・・・)
人を殺さない信条を持つ奇妙なマフィア(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)




治くんが首を振る。




太宰「その面倒な信条のせいで組織内で
使い走りみたいに扱われるのだよ、織田作。
あれだけの腕があるのに──────」

織田「その手の苦情は自己嫌悪でもう何万回も
承っている。それよりこの襲撃者だ」




作くんは簡潔に宿泊亭でのことを話した。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時

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