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六歩 ページ7

no side


貴女『治は川だし国木田君とも逸れたし…』

女は川縁を歩く。



??「うおぉぉぉ!!」

貴女『あら』



突如、女の背後から人影が襲う。



女は何でもなさそうな顔をして

目線だけを背後に向ける。



貴女『盗みは感心しないわ』



トン、と一歩だけ横にずれた女。

人影はスレスレで前へ転がっていく。



??「うわぁっ」

貴女『声を上げながら襲っても駄目よ』



女は転がった人影…白髪の少年を覗き込む。

すると女は顎に手を当てて少年を観察する。



貴女『あらまぁ…大変だったのねぇ』

少年「うぅ…その…すみません…」



はい、と女が手を差し伸べる。

少年は申し訳なさそうにその手を取った。



貴女『貴方、名前は?嗚呼、私は武者小路 A』

中島「中島敦です…」

貴女『そう……』



じぃっと中島敦を見るA。

気まずそうに中島は目線を逸らす。



貴女『よしよし』

中島「!?」



突然、Aは中島の頭を撫で始める。

理解の出来ない中島は目を白黒させAを見る。



貴女『……人助けは善いことよ』

中島「は、はぁ……」



じゃ、と軽く手を振ったAは

土手をひょいひょいと登って歩いて行く。



一人残された中島は首を傾げるも

烏の鳴き声に顔を川に向ける。



中島「えええっ!?」


川から生える(?)脚。



一瞬スルーしようとした中島は

Aの言葉を思い出す。



中島「こ…これはノーカンで……ええい!」



大きな水飛沫が上がり

その少しあとには川縁に二人の男が居た。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月15日 22時

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