第八話 ページ10
「お昼ご飯にしましょうか」
トントン、扉を叩かれ告げられた言葉にエマが返事を返す。
「Aも起きてるから一緒に行くの」
「?…嗚呼、成程。用意してあるわよ」
扉を開けた先にいたのは、今朝自分の脈を計っていた女性だった。
「叫ぶのはもう良いの?」
悪戯っぽく笑う女性に耳まで真っ赤にしつつ、首を左右に振る。
「ご迷惑おかけ致しました…」
「ふふ、良いのよ。…さ、エマ、着替えたらAさんを席に連れて行ってあげて。マーサは手伝って」
「了解しましたなの!」
「えー、エミリー人使い荒い」
「マーサ?」
「はーい…」
部屋にあった巫女服に着替え、エマに手を引かれて食堂に出ると、そこには今朝の倍以上の人が席に着いていた。
「ひえ…」
思わずふらつくが、いつの間にか後ろに来ていたマーサに支えられ何とか持ち直した。
「Aはここ!エマのお隣に座るといいの」
「有難う」
他の人に倣って座ってみるも、正座でないといまいち落ち着かない。
だがこの上で正座すれば明らかに座高が高くなる。
_…郷に入れば郷に従え、だ
足が届かない故に宙に浮いた足を軽く揺らし、初めて見る料理の香りに頬を緩めた。
「なあ、お前Aって言うの?」
未だ呼ばれ慣れていない自分の名前に少し遅れて反応する。
「…はい」
「俺もエマみたいにAって呼んでも良いか?」
その一言に、食堂にしんとした静寂が訪れた。
気付けば色んな人がこちらを凝視している。
「…?どうぞ」
全員が自分の答えを待っているような、不思議な空気の中Aはあっさりと首を縦に振った。
瞬間、食堂が一気に盛り上がる。
「俺も俺も!」
「私も呼びたい!」
「うちはもう呼んでますけどなあ」
何故盛り上がっているのか分からず呆気に取られていると、背後から肩をぽん、と叩かれる。
振り返ると大皿を持ったエミリーさんがいた。
「私も呼んでもいいかしら」
「…!勿論です、エミリーさん」
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ゆう - おジョゼかっこいい! (2021年3月21日 21時) (レス) id: fdf829f708 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - 要さん» そうだったんですね...汗 素敵なお話なので是非残してください! (2019年2月16日 22時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - シマエナガさん» ありがとうございます!そうなんです、書いた後にそれを知って泣 消すのも勿体なかったのでそのままでいかせて貰いました、、、! (2019年2月16日 2時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
シマエナガ(プロフ) - いつも陰ながら応援しています...!ジョセフさんかっこよくて素敵です泣 これからも楽しみにしてます! それと余談ですが、バレンタインに女性からチョコを渡すと言うのは日本だけらしいです...(でも可愛いお話で好きです...!) (2019年2月15日 23時) (レス) id: 56182cb6ed (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - ナ子さん» ありがとうございます〜!そう言って頂けると嬉しいです!頑張ります〜! (2019年2月14日 7時) (レス) id: 85394da7f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:要 | 作成日時:2019年2月11日 4時