花香る場所で訪れるもの (ページ23)

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宮近side

「あの子、元太達が騒いでた子だ」

作詞のノートを開きながら
こちらを見ないまま松倉が呟く

「…まぁ。面倒くさいから言うなよ」

「邪魔したお詫びにせめて黙ってはおくよ」

そう言っていたずらに笑った

「雰囲気すごく良さそうだったけど。
ちゃかにしては珍しくない？
こういうのビビリなのに」

「そう、なのかなあ。居心地がいいからつい
もっと仲良くなりたいって思っちゃうのかもね」

見えるはずもないのに
Aちゃんが出て行った出口の方を見つめる

「…でも、」

でも多分、

Aちゃんは優しいから。

色々考えてくれる人だから、
俺の仕事のこととか色々考えて接してくれてる

それなのに自分勝手に自分の気持ち伝えたら

悩ませることになるんじゃないかな、なんて。

「でも？」

なかなか次の言葉を言わない俺に
不思議そうな顔をした松倉が促す

「…前途多難、っすよ」

「いいね～ラブソング書けそ」

「いや勘弁(笑)舞台袖で干からびる」

冗談を言いながら笑い合い、

Aちゃんと見ていた雑誌にまた目を通した