お隣、34日目 ページ34
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「お前ら二人は罰として、コレ」
無慈悲に押し付けられた大量の書類。俺はAを顔を見合わせた。
こんなんやっとったら部活に遅れるやろが、という不満がもろに顔に出てしまっていたらしく、担任は「なんや、文句か?」と眉をしかめた。
「頼んだで〜」
ひらひらと手を振り教室から出ていく担任をにらむ。Aをチラリと見ると、慣れているのか何でもないような顔をしていた。流石問題児や。
___事の発端は数学の授業中。
俺が暇すぎて思わずAにちょっかいを出し、騒いでしまったことだ。最初はこそこそ話だったのが、いつの間にか声のボリュームがとんでもないことになっていて、先生に死ぬほどキレられた。
「なー、これどんくらいで終わるやろ」
「うーん…あ、私がやっておこうか?」
「は?」
「えっ」
平然とした顔で意味の分からん提案をしてくるA。コイツほんま…お人好しやめるどころか悪化しとるやんけ。
はあ、とため息をつく俺に、Aは何故か焦り出す。そういうとこが『良い子ちゃん』なんや、とは言えなかった。
「流石に一人でこの量はキツいやろ」
「だけど侑君、部活あるでしょ?」
「お前が気にすることやないやろが」
少し強めにそういうと、Aは黙った。
唇をきゅっと結び、目をきょろきょろ動かしている。恐らく俺が怒ったと思って、機嫌を窺おうとしているんだろう。
「別に怒ってへんからな」
「え、あ、そそそそうだよね!へへ…」
へへ、という特徴的な笑い方まで、あの日のAとまったく変わっていなかった。安心したようなだらしない顔をこちらに向けるAに、何故か少し気まずさを感じて、俺は目をそらす。
こいつの緩み切っただらしない顔を見ると、なぜだかムズムズして、それが嫌だった。
「侑君はやっぱり優しいねえ」
呑気にそんなことを言うA。『やっぱり』という言葉がどこか引っかかったけど、俺は特に何も言わなかった。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです!そちらの曲も聞いてみたいと思います! (2020年5月27日 13時) (レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます!!OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました!聞いてみてほしいです! (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬田 | 作成日時:2020年5月15日 20時