お隣、33日目 ページ33
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あの日の男の子だと、すぐに分かった。
覚えてる？って聞きたい気持ちもあったけど、あんな情けない姿を見られた手前、同一人物だと思われるのは恥ずかしくて、言い出せなかった。
それに、言ったところできっと侑君は覚えてない。
人気者で、少し人から恨まれやすいところはあるけど、裏表のない優しい人。私とは真逆の、カッコ良くて強い人。
でもこれは、恋じゃない。
私には手の届かないような、キラキラした、眩しい存在の侑君は、ただの憧れだ。
北さんも、治君もそう。とっても良い人で、こんな私に優しくしてくれる。侑君の周りには、素敵な人があふれてるんだ。
(……私もそうなりたいなあ)
優しくて、強くて、周りの目なんて気にしない、強い女になりたい。カッコよくなりたい。良い子ちゃんはもうやめたい。
すぐに暗いことばかり考えてしまうのは私の悪い癖で、気づけばもうみんな新しい席についていた。席替えは終わったらしい。
ふと、前から「おい」という声がして顔をあげると、侑君がいた。席が離れれば自然と忘れられると思っていたのに、なんでこうも私は運が悪いんだろう。
嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちだ。
「今度は前後や、よろしゅうな」
でも、悪戯っ子みたいな顔をして笑う侑君を見て、胸が苦しくなった。
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「あ、あの〜…北さん？」
「なんや？」
「いや、あの、これは一体……」
放課後。
なんだかすぐに帰る気分にもなれず、また私は校舎が閉まるぎりぎりの時間まで学校に残っていた。
暗い夜道を一人とぼとぼ帰るなんて寂しいな、なんて思っていたら、いつの間にか隣に北さんがいた。あまりの衝撃に声が出ませんでした。
「俺、告白したよな」
「そっそうですね？」
「だからもう、遠慮せんくていいよな」
「……え」
こちらを見てフッと笑った北さん。月明かりに照らされた顔がそれはもう綺麗で、お姫様ですか？って聞きそうになった。
顔面が強い。
それにしても、遠慮しなくてもいいよなっていうのはどういう意味なんだろう。
よくわかんないなあと首を傾げていたら、右手に何かが触れた。
「…いやか？」
「いや、じゃ…ないです」
それは北さんの左手で、するりと指を絡ませるように繋いできた。
心臓がバクバクするのが分かる。私ばかりこんな思いをするのは酷い、と思って北さんを見たら、北さんの顔が夜道でも分かるくらい赤くなっていた。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
