お隣、29日目 ページ29
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教えろ。いやだ。教えろ。いやだ。
そんな不毛なやり取りを繰り返した末、折れたのは女の方だった。
「……あのね、」
女はゆっくりと語りだした。
親が離婚したこと。もう同じ家に住んでいることはできなくなったため、母親の実家である東京に引っ越すことが決まったこと。
…本当は良い子じゃないのに、良い子ぶるのに疲れたということ。
でも、父親は『良い子』の自分を褒めてくれたから、頑張って良い子になろうとしているということ。
聞けば聞くほど阿呆みたいな話で、ため息をつきそうになる。
そんなことで泣いとったんかと、今すぐにでもその遊具の中から女を引きずり出して説教してやりたい気分だった。
でも、女が泣きながら話すものだから、なんだかそんな気分にもなれず、俺は黙って話が終わるのを待った。
「…ご、ごめんね、変な話しちゃって、」
一通り話し終えたらしい女は、何故か俺に謝る。俺から聞き出したのに、どこに謝る必要があるのか。そんな弱気やからすぐ泣いたりするんや。
女ってのはすぐ泣く。泣いたらどうにかなると思っとる。
大体にして、自分が悪くないことまで自分のせいにして、うじうじ悩んで、挙句こんな公園で一人で泣くくらい追い詰められて、阿呆ちゃうか。
段々と女に苛立ってきて、俺は気づけば口を開いていた。
「自分、脳みそ腐っとんのか？」
「……え？」
女は少し間をおいて間抜けな判事をした。
その声すら俺の苛立ちを助長する。昔からそうやけど、俺の口はいっぺん開いたら閉じんのや。言いたいこと言いきるまで、止まらへんようにできとる。
「親の離婚がお前のせいなわけあるかい。
良い子ぶるのに疲れたとか言うとったな、だったらはよやめーや。
あのな、なんでもかんでも自分のせいにするから疲れるんや
お前の親が離婚したんはお前の親のせいや、お前のせいやない。
それを自分のせいやとかわけわからんことゆうて勝手に落ち込んで、勝手に反省して良い子にならんと父親に嫌われるとかどうとかこうとか、
ッそういうのを、良い子ぶっとるっちゅうんやろが！！！！」
気づけば俺は、姿も見えない女に向かって怒鳴っていた。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
