お隣、27日目 ページ27
▽
放課後。
俺は忘れ物をとるため、部活終わり校舎に戻っていた。いつぞやのサムと同じだな、とかどうでもいいことを考えながら、足早に教室へと向かう。
__＿しかしその途中、聞きなれた声が耳に飛び込んできた。
「あ、侑君は良い人だよ、！」
(……水野？)
その声は確かに水野のもので、しかもその内容は俺のことを言っている。
首を傾げつつ、声のする方へ足を進めると、階段近くの廊下で男数人…恐らくその中の一人は水野だが、何やら不穏な雰囲気を醸し出して立っていた。
不審に思い、バレないように近寄っていくと、段々と声がはっきり聞こえてきた。
「なに、Aちゃん宮と付き合っとんの〜？」
「まじ？もったいないって！俺らの方がええよ」
……どうやら、俺が原因で水野は絡まれているらしい。
別に水野に情も何もないし、普通であればスルーして帰るところだけど、今回ばかりはそうもいかない。なんたって、絡まれている原因が俺なんだから。
仕方ない。助けに行こう。
そう決めて、足を一歩踏み出そうとした時、水野の小さな声が、俺の記憶を揺さぶった。
「確かに、……
侑君は意地悪だし、
憎まれ口ばっかり叩くし、
プライドが高いし、
人の恨みを買うようなことばかりするかもしれないけど」
「ハハッ、やっぱAちゃんもそう思っとるんやな！」
宮侑ざまあないな、と言って男たちが嘲るように笑う。だけど今はそんなことどうでもよかった。
ドクンと心臓が跳ねる音がする。はっきりとわかる。
___やっと思い出したんや。
なんでこんな大事なことを忘れていたんだろう。
「……、だけど
宮侑君は、絶対良い人だよ」
「はあ？さっきボロカス言っとったやろが」
俺は速足で歩きだす。
頭の悪そうな男たちの声は聞こえない。俺の意識は水野の声にだけ向いていた。
そうや、俺はお前に言わなきゃいけんことがあるんや。
「だって、侑君は、」
「私の、友達だもん」
……なんで、忘れとったんや、俺。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです！そちらの曲も聞いてみたいと思います！ (2020年5月27日 13時) (
レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます！！OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました！聞いてみてほしいです！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬田 | 作成日時：2020年5月15日 20時
