お隣、18日目 ページ18
▽
「……あ」
昼休み。
借りていた本を返そうと図書室に来た俺は、そこで見覚えのある女を見つけた。以前ばあちゃんの荷物を持ってくれたという、あの女だ。
声をかけようかと思ったが、親しいわけでもないのに図々しいかと思いやめておいた。
(…、何しとんのやろ)
図書室に来た割には、本を借りることも探すこともせず、キョロキョロと辺りを見渡している女を、少し不審に思う。
……正直、声をかけたのは気まぐれだった。
「あの、何してはるんですか?」
「ヒエッ、え、あ……ちょっと、探し物をしてて」
「探し物?」
__聞いた話によると、探しているのは自分のものではなく友達の物らしい。
流れで簡単に自己紹介もした。彼女は水野A、2年生。
そして俺がこの前助けたおばあちゃんの家族だとは気づかなかったらしく、そのことを伝えると「ああ!あの時の!」と笑顔になった。
「それで、探し物ってなんや?」
「ボタン、なんですけど……」
なんでそんなものを図書室でなくすのか、とか、別にボタンくらい、とか、そういうことは聞かないでおいた。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
「えっえ、見つけてくれたの…!?」
「たまたま見つけたのだよ!」
えっへっへ、と言って笑うAを見つけ、俺は口元が緩む。
あの後、無事ボタンを見つけ出したAは、自分の探し物を見つけたみたいに喜んで、俺にお礼を言った。
嬉しそうに図書室を飛び出していく姿を見て、少し気になってしまい見に来てみたら、ボタンの持ち主と思しき友達はAに何度もお礼を言っていた。
「ホントにありがとう大好き!」
「偶然見つけただけだから!」
気にしないでとケラケラ笑うA。
ホントに嬉しそうに、楽しそうに笑うAを見ていたら、変に胸がざわついた。なんやこれ、と思い、悪化する前にとその場を後にした。
(…ええ奴なんやな)
教室に戻った後も、嬉しそうなAの顔が頭から離れなかった。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです!そちらの曲も聞いてみたいと思います! (2020年5月27日 13時) (レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます!!OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました!聞いてみてほしいです! (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬田 | 作成日時:2020年5月15日 20時