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「痛いっ、凛月何して…っ!?」
彼の目は影を帯びていてなんだか怖かった。
「だめだよねぇ、A。勝手に好きな人作ったらさぁ?」
頬を撫で慈しむような視線を私に向けた。
「せっかく兄者から引き離して、俺のところに来させたのに」
この浮気者__________
そう言われて私にはわけが分からなかった。
零と引き離したってなに?最近零が私を避けるようになったのと理由があるの?
ぐるぐると悪い考えが頭を回り混乱してしまう。
凛月を好きな気持ちは、いつのまにか恐怖に変わっていた。
「兄者は俺のものはとらないってやくそくしたからねぇ、
俺、Aが欲しかったんだ。出会ったときからずっと。」
だから、約束の前に奪っちゃった。暗い顔で笑う。
「Aは気づいてなかったかもしれないけど兄者のこと特別視してたからね?
恋心を自覚されちゃったら困るし」
俺、Aのこと女の子として好きだから。私を自身の膝に乗せ
伏し目がちにこちらへ目線を合わせたかと思うと
首筋、鎖骨、胸上に舌を這わせる。
いつのまにか外されていたボタンに喉奥が引きつった。
しかし唾液の熱と熱い舌に酔わされた私はただなすすべもなく
凛月に縋り付く。それに気を良くしたのか、ちゅうっと
肌に吸い付いた。見なくても紅い花びらが咲いたことがわかる
凛月は前々からマーキングが好きだと思っていたけれどまさか…
「ふふっ、みんなに見えるようにつけてたからねぇ。
ま〜くんが顔赤くしてた理由わかった?A♪」
真緒が私を見てよく目をそらしてた理由は凛月のせいだったんだ。
「前々からAは俺のものってみんなに牽制してたのに
気づかないなんて鈍感にもほどがあるよね」
でもそのおかげでやっとこの時がきたんだよ
ぞくりと背筋が栗立ち、逃げようとしても腰に手を回されていて
無駄だった。無理やり凛月の胸元に押し付けられる。
「大好きだよ、A。ずぅっと愛してあげるからね?」
__________逃げようなんて思わないで
その言葉に絶望した私は、負けを悟り凛月の背に手を回した。
「うん、いいこいいこ♪俺の家においで。
もう誰とも話さなくていいよ、みんなの『女王』である必要もない。
今この瞬間から俺だけのお姫様に、家族になるんだよ」
子供はたくさん欲しいな。
なんて戯言にも付き合う気力はもう、なかった。
さようなら、私の恋心。
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イカリソウ『君を離さない』
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作者名:桃 | 作成日時:2018年2月26日 20時