あなたが、【煉獄杏寿郎】

あなたと嘘 ページ29

ふぅっと首元に息がかかる。

そして再びちゅぅと吸いつかれ、チクッとした痛みを感じる。


無意識に逃げようと腰を引いてしまう。
しかし腰に手を回され、ぐいっと逃がさないように抱き寄せられる。


彼の唸る声が聞こえる。
なにかに耐えるような、怒りにも似たような


『っふ』


私は息するのがやっとで必死に酸素を求める。
なんでこんなに息苦しいのか。

ぎゅっとあなたの手を握る。
あなたはビクリと反応し、そのまま私の手を握り返した。


「大丈夫、すぐ終わるからな」


その声はすごく優しい声だった。


ぽんぽんと私の腰に回した手で私の背中を撫でるあなた。その手を私の項に回しするりとなぞる。


いずれ、彼は綺麗な女性とこういうことをするのだろうか。
自分の意思で跡をつけるのだろうか。


いやだなぁ。


ツンっと鼻の奥がいたくなり、少し泣きそうになる。


ちくりと痛みが走る。
その後ぎゅうっと抱きしめられる。


「おわったぞ」


ぽんぽんと頭を撫でられる。
力が一気に抜け、少し涙が出る。

ああ.......安心する。

彼の肩に顔を埋める。


「うむ、やりすぎた、か」


ぽつりと呟くあなた。
頭をまた撫でられ、目を閉じる。


「............すまない！大人気なかった！」

『え？』


ちらりと見ると赤くなっているあなた。


「血鬼術というのは嘘だ！！」

『う、嘘.......？、、、、え！？！？』

「ああ！！」


嘘？？？
私は頭が混乱する。

どういうことだろうか。



『じゃあ、なんでこんな』

「ただ、俺がすごく腹が立っただけだ！君に俺以外の跡があるのが！」

『へ、』

「すまない！ただの嫉妬だ！」


嫉妬。

私相手に？
どうしてだろう。


ぎゅうとまた抱きしめられる。



「もう夜も遅い！眠いだろう！」

『え、あ、う、ん』

「一緒に寝るか？」

『うぇえ！？えっと！』

「はは！冗談だ！」



また今度、な。

とそっと私を離す。
そしてまた頭をぽんぽんと撫でられる。

私の髪をとり、そっと口付けをする。


「うむ！乾いたな！布団は俺のを使うといい！今夜は本当にすまなかった！」


『う、うん。ありがとう』


では！と部屋を出ていくあなた。
身体からまた力が抜ける。

ああ、どうしよう。

私の頭では理解が追いつかない。

だって考えたって、



あなたが私を好きみたいだ。

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