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あなたと鬼 ページ24

私を襲っていた鬼は瞬時に飛び退いた。

それと同時に鬼の爪で切れたのか、口布がはらりと落ちる。

ズルズルと力が抜け、その場に座り込む。
唖然と2人の方を見つめ、目からは涙が流れる。


助かった...?


私を鬼から隠すように杏寿郎くんは立ち塞がる。
ちらりと私を見ると驚いた顔をし、その表情は怒りに変わった。


「A、目を閉じていろ」


静かな路地裏に、彼の怒りの籠った声が響く。
ぶわっと辺りが熱くなり、彼の髪がなびく。

私は言われた通り、目を瞑る。


それは一瞬の出来事だった。


「肆ノ型 盛炎のうねり」


目を閉じていてもわかるぐらい、辺りが明るくなる。
つい、目を開けてしまった。

そこには炎に包まれるあなたと、先程の鬼の首が飛ぶ姿があった。


美しい。

それと同時に彼は遠い存在だと実感した。
辺りに鬼の叫び声が響いた。

あなたは刀についた血を振り払い、刀を収める。

こちらに振り向き、驚いた顔をしたあなたはこちらへ歩いて近づく。


「目を開けてしまったか」

『ごめんなさ、』

「いや、Aは悪くないんだ。」


私の前にしゃがみ、私と目線を合わせるあなた。
そっと抱き寄せられる。


「怖い思いをさせた。すまなかった」

『杏寿郎くん、は、悪くない』

「いいや、悪い。君を泣かせてしまったのだから」


ぽんぽんと頭を撫でられる。
安心して身体の震えが止まっていく。

杏寿郎くんだ。

彼の羽織にしがみつき、顔を押し付ける。


『たすけて、くれて、ありがとう』

「うむ、もう少し早く気がつけばよかったが、君が無事でよかった」


後で沢山叱るから、今は泣いてくれ。
と言われ、つい笑ってしまう。

優しくあやすような声に安心する。

叱られてしまうのか。そりゃそうか。

すると彼はビクリと反応した。
何かと思いちらりと見るとあなたは私の首元を撫でる。

くすぐったくてぴくりと反応してしまう。


「あの鬼につけられたのか」


先程の優しい声とはうってかわってとても怒った声だった。鬱血跡のことだろうか。
私がこくりと頷くとギリッと彼の歯が擦れ合う音が聞こえた。


「今日は俺の家で風呂に入るといい。」


そういうと私を横抱きにし、烏に重要な用事が出来たと伝え、すごい速さで走り出す。

私はただ、落ちないようにかれにつかまるしかなかった。

あなたと失態→←あなたと夜道



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ねむこ(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍さんコメントありがとうございます〜!わかります.....推しは尊いですよね....読んでくださってありがとうございますー! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 81a8bcf75d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 今日も今日とて推しが尊い…! (2021年2月10日 0時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 晶子さん» はじめまして!コメントありがとうございますー!記憶したい!?!そこまでですか〜!?感謝です... (2021年1月17日 0時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
晶子 - 初めまして!何ですかこの神作品は!?最高です( ; ; )何度も読み返してしまいます。。!!もう記憶してしまいたいくらい!! (2021年1月15日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 沙希さん» こちらこそありがとうございます...!!!!!!長編なので大変でしょうけど最後までよろしくお願いします...! (2021年1月10日 13時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむこ | 作成日時:2020年10月28日 8時

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