あなたが、【煉獄杏寿郎】

あなたと目覚め ページ21

するとパッと彼の目が開く。
そしてバッと私の顔を見て


「おはよう！！」


と元気な声で言った。
彼も寝起きがいいのか、すごく元気だった。

いやまて、今の独り言聞かれてないか？


『お、おはよう』

「よもや！君の寝顔を見ていたら眠ってしまっていた！」


ハハハハ！と豪快に笑う彼。
なんか心配無さそうだ。聞かれていないみたい。


ほっと胸をなでおろし、彼に握られていた手をそっと離そうとする。


するとまた手を逃がさないようにぎゅうと握り締められる。

驚いてあなたの顔を見るが、驚いている私に不思議そうな顔をする。


「どうした！」

『あの、手』

「む！嫌か！」

『嫌じゃないけど、』

「知っている！」


にこにこと笑うあなた。

もう心臓忙しいどころじゃないんだぞ。
いい加減にしてくれ、

なんて思っていたらぐいっと抱き寄せられる。

耳元にふぅっと杏寿郎くんの息がかかった。
慌てて飛び退こうとするが、抱きしめられているため、動けない。


「これから覚悟しておくんだな」


低く、妖艶な甘い声が私の耳に響いた。

これは誰の声なのか、

そう思わせるぐらい、いつもの杏寿郎くんでは考えられない声だった。

私の項をするっと大きな手が撫でる。

ぼふんっと音が出るぐらい、私は一瞬で顔が真っ赤になった。


覚悟、とはなんなんだ。

これから何をするつもりなのか。


そっと私の身体をはなし、真っ赤で固まっている私の顔をみて満足そうに笑い、頭を撫でてきた。


遊ばれているのだろうか。

いや、彼に限ってそんなわけない。

私に考え事をさせるのが好きなのかわからないが、杏寿郎くんは意外と意地悪だということがわかった。


幼馴染でも知らないことがあったのか。

そりゃあそうか、


なんて思いながら「暗くなってきたな」と外を見つめる彼を見つめる。


夕日に照らされる彼の髪と横顔ははとても美しかった。

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