あなたと憤怒 ページ43
「よもや、油断をしていた」
ぽん、と私の頭を撫でる。
そして私の腕を掴んでいた婚約者の手をギリッと掴み、離させた。
『きょ、じゅろうくん』
「大丈夫か?腕が痛そうだが、すまない」
『う、ううん。大丈夫』
「そうか、よかった!」
そういってするりと私の髪をとり、髪に口付けをする。
まるで見せつけるかのように。
「なっ!!」
「うむ、きみか!Aの婚約者殿は!」
「誰だ貴様!」
「白昼堂々大胆だなあ、」
店の奥から天元さんも出てくる。
野次馬たちが集まってきてちょっとした騒ぎになっている。
私はこの状況に唖然とするしか無かった。
「その女は俺の婚約者だ!いい加減にしろ!!女は黙って俺の隣で愛想を振り巻けばいいんだよ!」
「ほう、」
「へえ、」
杏寿郎くんの周りが熱くなる。
天元さんが気持ちはわかるが落ち着け、と杏寿郎くんの肩を叩く。
「その女は親の借金の返済用に俺に売られたんだぞ!!しかも所詮その女も俺の飾りだ、いい女だしなぁ。どういう顔で鳴くのか楽しみだ、」
それは一瞬だった。
私が瞬きする間に杏寿郎くんは婚約者の首元に木刀を突き立てていたのは。
天元さんは「あらら...」といって私の頭を撫でた。
「それ以上Aを侮辱するなら俺がその首を叩き切る」
低く、低く、怒った声が響く。
婚約者は目を見開いて固まっている。
それを見て杏寿郎くんはにっこりと笑う。
「借金は俺が全て払おう!だから、」
ぐいっと首元をつかみ、笑顔のまま杏寿郎くんは言う。
「もう二度とAに近づくな」
本当はA触ったその手を叩ききってやってもいいんだぞ、と元気に言う。
婚約者はそれを聞くと恐怖で顔を歪ませ、叫びながらら走って逃げていった。
ここまで怒った杏寿郎くんを見るのは初めてだ。
天元さんもはじめてだったのか、「怖〜」といって唖然としている。
ことが終わったことを察したのか、野次馬たちは去っていく。杏寿郎くんはこちらに歩いてきた。
「宇髄!もう終わったから大丈夫だ!」
「なんだそれ、帰れってか?」
「ああ!」
「お前なあ............はー...はいはい」
じいっと2人が見つめあったあと、じゃーなあといって素直に帰っていく天元さん。
ばっとこちらを向いた彼の目はギラギラとしていた。
「今日は店を閉めてくれ!」
『え、うん』
そそくさと閉店準備を進めた。
911人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむこ(プロフ) - 柑橘蛍さん» 柑橘蛍さんコメントありがとうございます〜!わかります.....推しは尊いですよね....読んでくださってありがとうございますー! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 81a8bcf75d (このIDを非表示/違反報告)
柑橘蛍(プロフ) - 今日も今日とて推しが尊い…! (2021年2月10日 0時) (レス) id: c6603d0c65 (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 晶子さん» はじめまして!コメントありがとうございますー!記憶したい!?!そこまでですか〜!?感謝です... (2021年1月17日 0時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
晶子 - 初めまして!何ですかこの神作品は!?最高です( ; ; )何度も読み返してしまいます。。!!もう記憶してしまいたいくらい!! (2021年1月15日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
ねむこ(プロフ) - 沙希さん» こちらこそありがとうございます...!!!!!!長編なので大変でしょうけど最後までよろしくお願いします...! (2021年1月10日 13時) (レス) id: fdabd54cfd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねむこ | 作成日時:2020年10月28日 8時