0日目43 ページ44
「それなら先に経験者いないか呼びかけてみる?会議のときはその人達を軸に進めていけばスムーズに進行するんじゃないかな」
「はい、俺もそれが良いと思います」
「それじゃあ、みんなそろそろ理解もできたと思うので一旦ちゅうもーく!」
と、及川が大きな声で呼びかければ、ざわついていた室内がぴしっと音を止め、全員の視線が彼に集まった。
「今のうちに聞いときたいんだけど、この中で人狼ゲームをやったことあるって人はいる?」
その問いかけに答えるようにちらほらと手が挙がる、例の四人を除けば他に赤葦、木葉、鷲尾、猿杙、小見と主に梟谷の面々が手を挙げていた。
「そこ部活メンバーでやったことあるとか?」
「いつだかの合宿で何回かやったよな、まだ尾長は入学してなかった時期だけど。てか木兎、てめーもだろうが」
「え?やったっけ???」
「いや、確かあいつ途中からわかんなくなって寝てたぞ」
「あ、確かそうだったか」
「ま、どっちにしろ俺らは素人がお遊びでやってただけだからあんま戦力にはなんねーけど、」
話しながら、木葉は赤葦の方をぽんと叩く。赤葦はその意図を汲み取ったようで、今度は自分から口を開いた。
「ああ、はい、俺は時々ネットとかで参加していたので、まだまだ初心者ではありますが」
「マジで!?すげーじゃん赤葦!!」
「だから前に人狼した時に赤葦が自分で言ってたろーが」
読んで字の如くミミズク波の記憶力しか有さない主将に木葉が呆れて顔を手で覆う。他の梟谷の面子もうんうんと頭を上下に振り同じような反応を見せた。
「で、赤葦は強いの?」
「さっきも言ったけど全然初心者だよ、孤爪こそこういうの上手そうだし俺じゃ足元にも及ばないんじゃないかな」
「まさか、俺だってこういうゲームはあんまりやらないよ」
珍しく人見知りの孤爪がある程度は親交のある赤葦に軽口を投げかければ、赤葦も言葉を投げ返す。見ようによっては同い年同ポジションの他愛もないやり取りにも見てとれるが、そこには互いに敵であったら厄介な相手だという警戒も含まれていた。
「うん、経験者がいるのは心強いね!会議は勿論みんなでするつもりだけどゲームの進行とか手助けしてくれると助かるな」
おそらく意図的であろうがそんな少し危うい空気が二人の間に流れる中で、及川は試合の時にチームを取りまとめる時のように笑顔で話を進める。
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時