0日目11 ページ12
「あ……?お前それ……」
「え、それってどれだよ?」
「ん?どうしたんだ?」
自身に向けて自身の服の襟首をはだけさせていた日向を白けた表情で見ていた影山だったが、何かに気付いたのか不意に日向の首元に手を近づけた。一瞬驚くも日向の首筋に触れたのはセッター特有の鍛えられた指が持つ温もりではなく、固く冷たい金属のような感触。
「へ?」
呆けたような声とともに彼が自身の首元に手をやると、そこには細い首輪が嵌っていた。
「え!?えぇ!?なんだこれっ!!?」
「待て待て日向一旦落ち着け、大丈夫、大丈夫だから、な?」
そのことに気付いたとたん半ばパニックになりながら無理矢理に首輪を取ろうとする日向を、菅原が上級生らしく彼の正面から両肩をぽんぽんと優しく叩いて宥める。一方で残りの二人はまさかと考え自分たちの首元にも手を伸ばし、そしてその嫌な予感が的中してしまったことに苦虫を噛み潰したような表情になる。
「随分と細いが……取れそうにもないな」
「そもそも首にかなりフィットしてますね」
見知らぬ場所でいきなりゲームをやらされるという異常な状況も手伝ったのかもしれないが、鈍色の光を放つワイシャツで隠れるくらいの位置に嵌められたその首輪は、細く軽く指を入れる隙間がないほどに密着しており、おかげで今まで違和感に気付けずにいた。
「これ、多分全員同じことになってる、よな?」
いささか青ざめた顔で菅原が確認するように言う、澤村は重たく首を縦に振った。
「このゲームのルール、そもそも俺たちが何もしなければそれまでと思っていたが……」
「……マジで?」
「ま、まさか……っ!!」
その場にいた四人の背筋をなにか冷たいものが駆け抜ける。こんな細いおもちゃのような首輪だが、どうあっても取れないこと、そして何より人間の急所である頸部に装着されていることが二人の想像をより悪い方向へと掻き立てた。
「そっちはどうだった?山口」
「はい、全部同じ画面でした東峰さん」
「こっちもです……、特に親機子機とかもなさそうですね」
例の円になって並んでいる柵状の証言台の、そのうち一つの台の前で山口、東峰、縁下の三人は互いの成果を報告する。裁判などでよく見かけるその台には上部にタッチパネルが取り付けられており、白い背景に黒のシンプルな明朝体で記された「処刑まであと」の文字の後ろには今も一秒ごとにカウントを刻み続けている数字が続く。
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星を廻せ - 中の人です。表紙作りました。人選は完全に我の趣味です。本編などには何も関係ない趣味の人選です。 (2023年3月24日 4時) (レス) id: 853819a2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星を廻せ | 作成日時:2023年3月19日 7時