25. 涙なんか見せないけれど。 ページ25
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‥‥‥隠していた、と言えば聞こえが悪いかもしれない。言わなかった。その答えが一番正しいのではないか。
五条とAの関係を知った上での、Aへの圧力。五条の、上層部からは勝手な振る舞いとも見える数々の行動を抑止したいが為に。
「‥‥‥隠してたわけじゃない。言わなかっただけ」
「どうして」
「言う必要が無いから」
「そんな訳無いだろ」
‥‥五条に、変な気遣いさせたくなかった。それだけ。
「あんた、忙しいでしょいっつも。これくらい自分でどうと出来るし」
「そういう次元じゃない。君が僕のせいで上層部に圧力掛けられてるってのが問題なわけ。分かってる?」
「大丈夫だよ。今まで何とか出来てたし。五条の手を煩わせるまでも」
「何でそんな言い方するの?僕らってそんな薄っぺらい関係だった?君が僕をどう思ってるかは知らないけど、僕は本気で君を守りたいって思ってるし、君は僕にとって大事な人だ」
「そんなこと言わせない」と強い口調でそう言い切る五条に、Aは苦虫を噛み潰したような気分になる。
Aは知っている。この男にどれだけのものが背負わされているかを。だから、こんな小さな事で五条を心配させたく無かったのに。とてもラーメン屋へ呑気に行く雰囲気ではない。
「‥‥‥だから、大丈夫だって。上層部が私に嫌がらせ出来ることなんて、限られてるし。これまでも大丈夫だったし」
五条を諦めさせる為に言った言葉だったが、それがどうやら地雷を踏んだらしく。
「これまでって、いつからこんな事になってた?」
五条の顔が更に険しくなった気がする。しまったとAは思わず心の中で舌打ちをした。
「‥‥どうりでAに任される仕事が雑用から任務まで多すぎるって思ってた。そういうことか」
「だから五条」
「だからじゃない。とにかく、こっちはこっちで動くから」
五条の方でもうカタはついたらしい。Aが顔を歪めて思いっきり五条から視線を逸らすと、赤信号が青になって彼女は車を発進させた。
‥‥重い沈黙が流れる。
「‥‥Aが、僕が嫌いで僕に助けられたくないのは十分分かったけど。僕はそれでも君が大事だし、君は僕の気持ち何一つ分かってないよ」
違う。そんなんじゃない。
分かってないのはどっちだ、とAは少し泣きたくなった。
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アサキ - すごい面白かったです!!コサックダンスしてください! (11月13日 16時) (レス) id: 48b370e610 (このIDを非表示/違反報告)
Yona - 面白かったです!いい作品をありがとうございます! (2022年7月14日 21時) (レス) @page47 id: ca15e254da (このIDを非表示/違反報告)
ほしふる。(プロフ) - ナチテト@ワイ日本語おかしすぎワロタさん» 初めまして!ご丁寧に、そして素敵すぎるご提案ありがとうございます!宜しいんですか...!?あらすじまで😭嬉しいです、是非お願い致します‥‥!この作品をそんな風に思って頂けて幸せですっ。書かれたら読みに行きますね✨本当にありがとうございます‥‥! (2022年4月6日 20時) (レス) id: c44e5c04c6 (このIDを非表示/違反報告)
ナチテト@ワイ日本語おかしすぎワロタ - 続きです。嫌なら断って良いです。ですが、私からのざっくりとしたあらすじは書かせてもらいます。それで良いのなら、okを出してください。あ、勿論悪いことは書きません。嫌だな、と思った箇所は教えてください。すぐに消すか直します。 (2022年4月6日 14時) (レス) id: b29450610e (このIDを非表示/違反報告)
ナチテト@ワイ日本語おかしすぎワロタ - コメント失礼します。ほしふる。様のこの作品を、私の方で宣伝させてもらえませんか?私はこの作品に出会った時に、もっといろんな人に見てほしいと思い、宣伝したいと思いました。 (2022年4月6日 14時) (レス) id: b29450610e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほしふる。 | 作成日時:2022年3月5日 18時