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35,どうせなら ページ35

ーーーあれから互いに気持ちを確かめ合ってから数日が経った。









正直どれくらいの時間が経過しているのかなんて云う正確な時間は自分が眠っている事が多くて判らない。









治さんが来てくれたから前より変わった事と云えば、自分が痩せ過ぎて骨の形が判るくらいになった
事。




目がぼやけて霞んできた事。





大切な人が傍にいる幸福さを感じられた事。





そして中でも一番は、自分ではもう起き上がる事すら出来なくなった事だ。






そんな私の状態を見ても治さんは何時もの通りに接してくれた。









「お早うA。工合はどうだい?今日は何時もより顔色が悪そうだよ」









「・・・・・・そう、だね。余り善くない、かも」









「そうかい。無理しなくて良いからね」









「有難う。・・・ねぇ。そう云えば私達何処にも行けてないよね」









そう云うと治さんは私の細くザラザラとした私の手をそっと触れながら微笑む。









「君が元気になったら連れて行くよ」









「ふふっ。何処に連れて行ってくれるの?」









「何処でも善いさ。君が行きたい場所で構わない」









「じゃあ場所を決めておかないとなぁ」









彼との会話を楽しんでいると急激に身体に激痛が走り、噎せ返るような感覚が私を襲った後、口から血が溢れ出て止まらず。其れが数回続いた。
自分で抑えていた手を見てみると紅く染まっている。









其の真っ赤な手が私の寿命を表している気がした。









彼が看取ってくれるなら、ならどうせならーーーー









「あのね治さん、お願いがあるの。
私を彼処に連れて行って。私達が初めて出逢った場所に」









どうせ死ぬのなら、看取って貰えるなら、







最期は貴方との思い出の場所で死にたいの。









そんな私の我儘に治さんは判ったと一言頷いて、
動けない私を横抱きにして向かってくれた。









行く前に風邪を引くからと羽織っていた外套を私に被せてくれた。









その少し過保護な所が変わっていない感じが何だか嬉しくてつい頬が緩んだ。









これが私の最期の願いになるだろう。









自分の命が燃え尽きていくのを感じた。

36,出逢った場所→←34,求めていた愛



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ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時

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