34,求めていた愛 ページ34
自分の想いを伝えると治さんは得意気な顔をして微笑んだ。
「私の答え判ってたでしょ」
「確信はなかったけれどね。でも、君の口からその言葉を聞けたのはとても嬉しいよ」
「なんか、私だけが損してるみたいでムカつくわ」
「そんな事ないさ。其れは君の思い違いだ。
ねぇA。接吻してもいいかい?」
「・・・そんな事聞かないでよ。私が断る訳ないじゃない」
「其れもそうだね。じゃあ接吻するよ」
その言葉が合図となり彼の端正な顔が近付いてくたので、私はそっと瞼を閉じた。
そっと口に彼の其れが触れる。久しぶりのその感触に少し私の身体が震えた。
彼はそんな些細なことを気にする事なく、
触れては離れての優しい接吻を繰り返す。
目を閉じているとは云えその接吻の仕方が
何だか段々恥ずかしくなってきたので、
少し離れようと私は彼の胸に手を添えると
瞬時に治さんの手が私の頭の後ろに回って離れなくなる。
それどころか息も出来なくなる様な深い接吻になり、退けようと彼の胸に添えていた手も支えを求める為のものでしかなくなってしまった。
暫くして何方の物か分からない唾液が口の端に垂れた頃に漸く治さんは離れてくれた。
私の口の端の液を親指で掬って舐め取る仕草がなんとも妖艶である。
息もする暇もなかった其れに肩が上下に揺れて身体が呼吸を求めた。
「治さん・・・私、一応病人なんだけど・・・」
「すまない。気持ちが昂ってつい何時も通りに遣ってしまった」
「・・・ごめんって思ってないでしょ」
「思っているとも。だからお詫びとしてもう一回しよう。ね」
「だから私一応病人・・・んっ」
喋る暇もなくもう一度唇を重ねられる。
今度は初めから激しい接吻に私の目からは先刻とは違う涙が浮き出る。
拒否しようと思えば出来たのかもしれないけれど、彼が私を愛してくれているのが伝わって来て其れがとても嬉しくてそんな事出来なかった。
だって彼の愛を求めていたのは私だったのだから
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ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時