貴方とのさよならを

１１，あの人の友人と ページ11

あの後何とか涙を止めて仕事をこなした。








その後に彼が戻ってくる事はなかった。








別れてからもう早くも数週間が経過したけれど、太宰幹部とはあれから一度も会っていない。








幹部補佐として本来なら近くで仕事をするべきなのだろうけど、あの人は其れも許すことはなかった。








当然の結果だ。私も振ったし、あの人もまた私を振ったのだから。








そんな気を紛らわせようと前に太宰幹部に教えて貰ったLupinに行く事にした。








勿論、太宰幹部が来れない事は把握済みだ。








Lupinに行くと会いたかった人物が其処にいた。








良かった。今日はいたみたいだ。








｢お久しぶりです。織田作さん｣








｢Aか。久しいな｣








｢はい。お元気でしたか？｣








｢まぁな。そう云うAは顔色が優れなさそうだな｣








｢･･････そうですか？｣








｢嗚呼。今にも倒れそうな顔をしている｣








｢･････一時的なものです。直ぐに良くなります｣







｢･･･そうか。それならいいが｣








｢･･････あの太宰幹部、治さんとはお会しましたか？｣









｢一度だけ会ったな。理由は知らないが、少し様子が可笑しかったな｣









｢可笑しい･･･とは？｣









｢顔は同じだったが雰囲気が何時より悲痛な感じがした。何かあったのか？｣









｢･･････別れたんです。私達｣








｢･･･そうだったのか。俺で良ければ話を聞くが。
其の前に何か飲むか？｣









｢･･････お気持ちだけ受け取らせて頂きます。
じゃあ烏龍茶を｣









織田作さんと会う最後の夜を惜しみながら私は彼と乾杯した。









織田作さんの事だから何か勘づいたかもしれないけど、私の事を知れば悩むだろうから。









だから私は最後まで自分の事を云う積もりはない。









これ以上迷惑になるのも悲しむ顔も嫌だし、見たくないのだ。









そんなのが増えるのは私にはもう御免だ。

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