12,止めて ページ12
あの日の朝方、身体に激痛が走り目が覚めた。
寝ている時の痛みなんて初めてではなかったけど
今回は違った。
その痛みは涙が出るほど辛くて、痛みを抑える為に薬を飲む。
今日だけじゃなく、最近は其れの繰り返しだ。
けど薬に頼り過ぎて身体が慣れ、段々と効力がなくなってきてるのではないかと思い始めている。
其れからも痛みで寝る事が出来ず、もう出勤時間になってしまったので、何とか身体に鞭を打って仕事へ向かった。
執務室へ入るとまたあの女がいた。
今日は朝から最悪だ。あれ以降会わないと思っていたのに。
「あら、またあんた。何でいる訳?」
「何でと云われましても此処が私の職場ですから」
「あっそ。そう云えばあんた今日随分厚化粧なのね。もう叔母さん気取り?」
・・・本当に失礼な人だ。私が今日厚化粧なのは
朝の体調不良を如何にか隠す為であって、
決して叔母さん気取りなどではない。
そんなので煽っている積りなのだろうか?
「そう云う訳ではありませんけど、お好きな解釈でどうぞ」
「ふん。嗚呼。そう云えば治と別れてくれたのね。
約束守ってくれるなんて随分律儀じゃない」
「守った積もりはありません。・・・・・私もあの人との関係にはうんざりしていたのでそうしただけです」
「・・・まぁ何方でも良いわ。折角だしあんたに良い報告をしてあげる」
「良い報告?」
「昨日ね、治に沢山愛を貰ったの。」
「・・・・・・はい?」
意味が分からない。否。理解、したくない。
「はぁ?これで分かんないとかあんた馬鹿?
詰まりこう云う事よ」
そう云って羽織っていたショールを下ろすと
頸辺りを中心に二人が愛し合ったであろう跡が残っていた。
「ふふっ。昨日の治とても情熱的だったのよ」
・・・・・・・止めて
「あんたはあんな良い思いした事ないでしょ」
・・・止めて
「あの良い顔の治をもう見れないなんて、可哀想にねぇ」
もう止めて!!
感情的になった私はすぐ近くにあった扉を殴り付けた。
「・・・・・・もう良いですか?私も忙しいのでこれで失礼します」
私はその場から逃げる様に立ち去った。
何かあの女が呟いた様な気もするけど、そんなのは今の私の頭には入ってくる事なんてなかった。
310人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユリア(プロフ) - すごく泣きそうになりました!でも、とてもいい結末だなーと思いました。 (2023年2月3日 23時) (レス) @page40 id: 4dc59746f6 (このIDを非表示/違反報告)
小指よくぶつける - めっちゃ泣いた。……!! (2020年8月27日 23時) (レス) id: eb8322ff5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - 粉雪餅さん» 嬉しいお言葉有難うございます!楽しんで頂けて私もとても嬉しいです!有難うございました! (2019年9月21日 13時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪餅 - ゆうみるさん» 面白かったです!とっても泣きそうになりました!小説面白かったです (2019年9月21日 8時) (レス) id: bd26a6d5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみる(プロフ) - ななさん» 最後まで見て下さったんですね!!有難うございます泣 本作品楽しんで頂けたでしょうか?次回作はまだ思い付いてはいませんが次がありましたらまた見て頂けると嬉しいです!本当に有難うございました! (2019年8月26日 11時) (レス) id: 752a7ff7e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうみる | 作成日時:2019年7月21日 8時