焦らなくていいよ ページ2
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「(あ、電気ついてる)」
遠征から帰ってくると、一人暮らしなはずの部屋に電気が付いていた。見覚えのある靴が玄関にあったので間違いなくAがいる。
『あ、晃おかえり』
「ただいま、」
『お疲れ様、』
「いい匂い、」ありがとう
『もうちょっと待っててね、』
いつも遠征から帰るときはAがこうして家に来てくれる。そして温かい料理を作って待っていてくれるのが本当にありがたい。
「シャワー浴びてきていい?」
『うん、お風呂入ってる』
「ありがと、じゃあ先風呂行ってくる」
『どーぞ、』
Aと付き合って、かれこれ何年?と考えてしまうほど。高校からだから10年は悠々と経ってしまった。
『タイミングいいね、出来たよ』
「お、やった」
『どうぞー』
「いただきます、」
いつも通り俺のための和食。たまに洋食も出てくるけど基本和食で揃えてくれるAの優しさ。俺に内緒で料理教室通ってること本当は知ってるけど、ずっと言ってない。
「ねえA、」
『ん?』
「いつもありがとう、」
『え、』
「俺、ちゃんと結婚考えてるからね」
『…ギータさんになんか言われた?』
「ああ、ほぼ毎日のように言われてるけど」
『ふは、ギータさんらしい』
「ちゃんと、考えてるから、もう少し待って」
『別にいいのに、そんなこと』
「え?」
『晃のタイミングでいいよ、あたしは晃について行くってもうとっくの昔に決めてるから』
「…A、」
『そうじゃなきゃ、福岡で就職しようなんて思わないって』
「そっか、」
『だから、焦らなくていいよ』
「ありがと、A」
『いーえ、』
いつも通りの笑顔が安心する。Aじゃなきゃダメなことくらいわかってる。でも、もう少しだけ待ってね、
(子どもはほしいなあ、)
(うん、それは俺も)
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いちか(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます!きゅんきゅんしましたかね?良かったです。結婚式や子どもが生まれた話など書いてほしいとのお話もいただいてますので検討中です◯ありがとうございました! (2019年2月24日 0時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
りりり - 更新を楽しみにしていた一読者です。ものすごくキュンキュンしながら読ませていただきました。家族となった2人のお話の続編も楽しみに待っております。 (2019年2月22日 12時) (レス) id: a5ef03bd84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちか | 作成日時:2018年10月28日 20時