太宰治依存性、予備群です。【文スト】

依存20 ページ21

まだ笑ってます。


逆に個室で良かったかもしれない。
ずっとニコニコの男女が居てもほかの人に迷惑だろう。


そろそろ表情筋が疲れてきた。
この状況に耐えられなくなった私は口を開く。


「ふふふっ」


笑うだけだが。



「ふふ、好きなもの頼んでいいよ」


テーブルの端っこにあったメニューを渡してくれた。


「ありがとうございます」


メニューを開くがよく文字が見えない。



私が緊張してるから？そんな訳無いじゃない。
そんな訳････無い。



「決まった？」

「はい」



返事をすると太宰さんはウェイトレスを呼んできた。
さっきの人だ。



「ご注文はお決まりでしょうか？」


「じゃあこのパスタで」

「じゃあ私はローストビーフ」


「かしこまりました」



何処で鍛えらえたんだと思うほど礼儀が正しい。
やっぱりこういうレストランは教育をしているのだろうか？


背筋をピンとして部屋から出ていく姿も凄いと思う。



これで第一関門は突破。
次は第二関門、料理を食べる時。これが一番重要だ。






「そうだ。Aちゃんって好きな人居る？」


第二関門変更。太宰さんとの会話。



「いきなりどうしたんですか？」


「ちょっとした興味だよ。私達もうこういう関係だろう？

教えてくれるかなと思って」



どういう関係ですか？と聞きたい。




「好きな人は居ます。でも誰かは教えれません」

「えー良いじゃないか」

「そっ、そんな顔したって駄目ですからねっ！」

「ちぇー」




私はいつから道を間違ってしまったのか。

あんなことが無ければ今も普通に
太宰さんと関わることも無く暮らしていたのに････



私はそんな後悔を心の中でする反面
少し嬉しいとも感じていた。


憧れの太宰さんと一緒にいる喜びの方が勝ったようだ。




ウェイトレスが部屋の隙間から覗いていたとも知らずに。

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