検索窓
今日:69 hit、昨日:69 hit、合計:228,301 hit

赤い髪 ページ34

名もない海賊 side





__いい意味でも、悪い意味でも、夢みたいだった。





海の覇者__四皇の一角であるオヤジが、エースを助けるために海軍の本拠地に乗り込んだ。
消えていく命を数える暇もない、地獄と称するにふさわしいこの瞬間で俺たちは今までそばにいたものをいくつも失った。


この戦争の焦点だったエースは救われた。
あいつの弟と、名も知らぬ少女の手によって。


けれどその代償はあまりにもでかくて、俺たちは支柱だったオヤジを亡くした。

最期まで俺たちを愛して、誇りに傷をつけることなくオヤジは散っていった。

止まらない涙に視界を歪ませて、嗚咽を噛み殺して、オヤジが助けようとした命を俺たちはオヤジの意思だと守り通す。



懸賞金こそつきはすれど大物揃いのこの船では霞んでしまうような俺が、そのひとつを今抱えている。

生まれ持った才能は体格だけ。


誰よりも大切に、仁義を通すように傷口に触らないように丁寧に、けれど急いで運ぶ。
気味が悪いほど軽いこの少女は血だらけで、端正なはずのその表情を痛みに歪ませていた。


絶対に守り通さなければならない。


もしこの命を取りこぼしてしまえば、それこそ俺らは親不孝者だ。





突如傾いた地面に振り向けば、七武海の一人__この戦争の元凶とも言えるティーチが、オヤジが持っていたはずの能力を操っていた。




「なんで」




有り得ない角度に傾いた地面、地の底から込み上げてくるような揺れは、この時代の象徴が有していた専売特許だった。

驚愕に唇がわななき、疑問で脳が埋まる。


ティーチはサッチを殺してヤミヤミの実を奪い逃げたはずで、一人の人間が同時に二つの能力を持つことは通常ありえない。





じゃあ、じゃあ。



目の前で起きているこの地獄はなんなんだ。

#→←#



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (342 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
768人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。