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39.着替え。 ページ39

潤さんの視線が浴衣に落ちて、また私の顔に戻る。

「あ...馬子にも衣装って思ったでしょ!」

ドキドキを隠したくてそう言うと、彼は「いや」と首を振った。

「懐かしいなと思って」
「懐かしい...?」
「前に住んでた部屋のドアが、そんな色だったから」

言われて自分の浴衣を見る。

「ドアにしては派手な色ですね、意外」

潤さん、シンプルな物が好きそうなのに。

「俺の部屋だけじゃなくて全部の部屋のドアが派手だったからなー」
「へぇ、綺麗そう」
「うん。綺麗ではあった」


柔らかく微笑んだ潤さんがソファに座る。
私は何となく、そのまま鏡の前の椅子に再び腰を下ろした。

「潤さん、お祭...」
「あー」
「行きますよね?」
「もうそれ、決定してる言い方じゃん」
「行きましょうよ!気晴らしに!」
「気晴らしって...俺、気を晴らさなきゃいけない程日々に疲れてないけど」

フッと面倒臭そうに笑う。
くそー...手強いな...。


「潤もたまには気分転換が必要なんじゃない?」

旬さんが奥から戻ってきた。
白い浴衣を着てる。

「毎日毎日、仕事ばっかしてんだから」
「しなきゃいけない時期だからね」
「そうかもしれないけど、上手く休むのもデキる男の条件だと思うよ?」

潤さんの隣に座った旬さんが、彼の肩を抱いた。
「そもそも、この後に仕事は入れてないんだし」と旬さんが言うと、潤さんは「まぁ、そうなんだけど」と応える。


「ただいまー!遅くなっちゃった!」

斗真さんが帰って来て「うっわ!Aちゃん、超絶可愛いんですけど!」って電光石火の速さで私の横に跪いた。
あはーって愛想笑いを返すと、旬さんが「はい、振られたー」って斗真さんを指さす。

「え?俺、振られたの?」

キョトンとした顔で斗真さんが私を見上げた。

「振られたも何も...斗真さん、別に私のこと何とも思ってないでしょ」
「えー?そんな事無いよ?」

ンフフーって笑ってる。
この人はこの人で、違う意味で手強い。


「あっ!旬、俺の浴衣は?」
「奥に置いてる。早く着替えといで」

「行ってくるね!」って何故か私に報告して、斗真さんは駆け足で奥へ入って行った。


「潤も早く着替えて?」
「...はっ?俺?浴衣なんて持ってねぇし」
「あるある、用意してあるから」
「いや...ってか何でそんなに男モンの浴衣があんだよ」
「今後、浴衣レンタルもアリかなー?と思って、安価の物を数着取り寄せといたの」

旬さんがちょっとドヤ顔した。

40.FESTIVAL。→←38.メイクアップ。



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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72  
作成日時:2018年8月11日 13時

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