40.FESTIVAL。 ページ40
「女の子って浴衣持ってる子多いけど、男ってあんまりじゃん?」
「確かに。良いかもしれないな」
ビジネスの表情になった潤さんの肩を、旬さんが「早く着替えて」ってグイッと押した。
「.....わかったよ」
立ち上がり奥へ行く潤さんを見ながら、心の中でガッツポーズ。
一緒にお祭に行けるだけじゃなくて、浴衣姿まで拝めるなんて。
チラッと旬さんを見ると、ニッと笑って親指を立ててる。
数分後、斗真さんと潤さんが戻ってきた。
斗真さんは鼠色の浴衣。潤さんは藍色。
目眩する。
旬さんはどちらかと言えば和顔だから浴衣が似合うのは着る前からでも分かるけど。斗真さんは何だか綺麗だし。
潤さんはもう、何と言うか...美の暴力。油断したら怪我する。
「さ!じゃあ、行きますか!」
旬さんが立ち上がり、潤さんの頭にハットを被せた。
「何これ」と言う潤さんに「潤はこれくらいやっても良いでしょ」と応えて、事務所を出て行く。
斗真さんも「行こー行こー!」とその後を追う。
潤さんがハットを触りながらこっちを見た。
「...行くか」
「はいっ!」
「犬みたいだな」
「え?」
ハハッ、と笑った潤さんと一緒に事務所を出て2人と合流。
私の案内でお祭り会場まで行って、その道中もずっと私は潤さんの隣を歩いてた。
「いーなー、お祭!何か久々!」
「ビール飲もうよ」
「俺、綿飴食べたい!」
「イカ焼き売ってないかなー」
斗真さんと旬さんが屋台の写真を撮りながら、練り歩く。
宣言通り、斗真さんは綿飴を買ってたし旬さんはビールを飲みながらイカ焼きを食べてた。
「潤さんはビール飲まないんですか?」
「市場価格の何倍なの、あれ」
「フフッ」
盆踊りの音頭が聴こえてくる。
斗真さんが「踊る!」って走って行く。それを旬さんが、多分ムービーを撮りながら歩いて追いかけた。
「あ、りんご飴。みぞれ、食わねぇの?」
りんご飴の屋台を指さして、潤さんが言う。
「食べたい!」
「普通ので良い?」
「普通の?」
「何かほら、イチゴとかブドウもあるけど」
確かにそこにはりんご飴以外の飴も売ってる。
「ううん、普通のりんご飴が好きなんです」
何かあの、ゴンッてでっかいのが昔から好き。
巾着からお財布を出してると「りんご飴1個ください」って潤さんの声。
「え?」
「はい、どーぞ」
「え?え?」
「案内のお礼、先払い」
真っ赤で大きなりんご飴を、潤さんから渡される。
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橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時:2018年8月11日 13時