５８話 ページ10
「っ〜…ふぅ、いや何。此方が重く捉えすぎてただけみたいだ」
ひとしきり笑い終えたのかどさりと後ろに倒れて天井を眺める鶴丸は、視線をこちらにむけてにぃッと笑って見せた。
「俺がアンタの事観察してたのがバレてお咎めでも受けるのかと思ってたもんでな？酒でぼんやりさせてから吐き出させるつもりなのか、とも」
「ンな事するわきゃ無いだろうに…ったく、もう」
そう思えば、此方も少しおかしく思えてしまって。お酒の脳の緩みからも、口から笑みが零れて仕方がない。鶴丸も釣られるようにまた笑いだしては、二人して回りを起こさないように声を抑えつつ笑っていた。
雲は姿を消して、月の光が完全的に此方を照らしたころ。まるでアタシと鶴丸の仲たがいが晴れたように……丁度よく晴れ渡って綺麗な夜空。きらりきらりと星も輝いていた。
「さァて、話は此処迄。アタシは飲みなおすとするよ」
「おいおい、まだ飲むつもりなのか？」
「何も一人で、とは言ってないだろう？」
胡坐の状態から立ち上がる。日本号のくれた酒瓶を軽く揺らしつつ、此方を呆れたように見てくる鶴丸に手を差し伸べた。
当の本人はきょとんとした表情でアタシの顔と手を見比べている。…が、意図を理解したのか呆れたように笑いつつ問いに応えてくれた
「…真逆俺を晩酌の相手に突き合わせるつもりか？」
「おや、美人からのお誘いには快くノッておくもんさね。」
「はァ……しょうがない、付き合ってやるよ主」
ぽん、と差し伸べた手にのせられた手は暖かいもので。
作ったようでもなんでもない自然な笑み、悪戯好きの子供のような無邪気な笑みを浮かべる彼に内心嬉しく思いつつも、それに対してほんの少し悪戯心が湧いちまう。
「よし、これで“お手”はできるようになったねェ、お鶴」
「おいおい、俺はわんころじゃあないぞ？早速老眼か？」
「ほ〜…？老眼とな……よし飲み比べで勝負するよ、アタシに勝てるかい、国永」
「ははッ…そうこないとな！いいね、きみとの日々は退屈じゃなさそうだ！」
酒飲みの夜はまだまだ長い
翌朝二人仲良く廊下でそれぞれ酒瓶抱えて寝ている姿が一期によって発見された。
日本号に説教されたことは言うまでもない。
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病蛟(プロフ) - 勇者の人さん» お褒めの言葉をいただきありがとうございます…自分自身も楽しみ、かつ読者にも楽しんで感動して頂けるような小説をモットーに書いていますので、とてもありがたく思います。体を気にかけていきつつ投稿させていただきますので楽しみにしていてくださると幸いです。 (2021年9月22日 21時) (
レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - 文章が綺麗でとても読みやすく、読んでいて感情が揺さぶられたりと素晴らしい作品ですね。応援しています、これからも無理しない程度に頑張ってください。 (2021年9月22日 2時) (レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - もっちーさん» 一期一振に関する誤字を教えていただき有り難う御座います。修正作業に取り掛かります故…これからもこの作品をどうぞよしなに、楽しめるような続きを投稿させていただきます。 (2021年9月11日 22時) (レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
もっちー(プロフ) - はじめまして！続き楽しみに待ってます！！それと一期が一護になってます! (2021年9月11日 19時) (レス) id: 5828451b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：病蛟 | 作成日時：2021年8月18日 23時
