65話 ページ17
事前に用意されていたお風呂で体をしっかりと清めた。白い肌小袖に身を包んである程度の紙の水分を拭きとってから、いつもとは違く下げ髪で纏める。
ポニーテールは楽だが、きちんと乾いてからじゃないと髪が腐っちまうからね、今は急ぎでもあるわけだし、乾くのを待つ暇なンざ無い。
取り敢えず部下の話を聞くために、今回の相談者である数珠丸、近侍の日本号には同席してもらうことにした。あまり人が多すぎるのは、話の腰が折れやすいッてもんだ。それは余りいただけないからねェ?
「皆さん、揃いましたね!それでは報告を開始します。じゃあごこきゅん、資料をお配りして」
「は、はいっ」
アタシ達3人の前に綺麗な姿勢で正座をした部下は話始める。五虎退から資料を受け取る際、ありがとうね、と言えば本当にうれしそうに微笑まれた。
「ええとですネー。まず、地下室の増築申請は“出てません”よ。消された可能性も考慮して、かなぁり深くサーチ掛けましたけど全く。あ、此奴血縁者に上層部は居ました!」
「…じゃあ、数珠丸たちの持ってた地下室、の情報はガセだッてのかい?それに、アタシはあの池の底で…」
「まぁまぁ、待ってくださいな。ここからがミソなンです!そう、地下室の増築申請は出てないんです。この本丸に前任が配属されてからは、ね?」
アタシが意見しようとすれば、部下はそれを宥めるような手つきをしつつ、アタシの言葉にかぶせるようにそう言い放った。
少し自慢げな笑みを浮かべて話す部下の言葉に、少しの違和感…増築申請は出ていない、配属されてからは……?
・・・ッ成程、そういうことか。
「…あの人が本丸に配属される前、その時点でもう地下室は作られていた…ということでしょうか。そしてそれを、上層部の権力で揉み消して、本人達以外地下室の存在は知られていない…と?」
「イエスッ!大正解ですよ、数珠丸さん!」
ふゥん・・・・・・よくできた絡繰りだこと・・・確かに、配属される前に作ってしまえば刀剣が場所を知らないのも頷けるし、大規模工事だって知らないワケだ。工事業者たちに金を握らせちまえば、何事も無かったかの様に出来るのは容易い事だろう。
「てことは…地下室の存在は確定的。長谷部もそこに居るッてことか……」
「…が、その肝心の地下室の場所は……」
「それに関しては、ほんの少し見つけた可能性がある。」
視線がアタシに集まった。
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病蛟(プロフ) - 勇者の人さん» お褒めの言葉をいただきありがとうございます…自分自身も楽しみ、かつ読者にも楽しんで感動して頂けるような小説をモットーに書いていますので、とてもありがたく思います。体を気にかけていきつつ投稿させていただきますので楽しみにしていてくださると幸いです。 (2021年9月22日 21時) (レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - 文章が綺麗でとても読みやすく、読んでいて感情が揺さぶられたりと素晴らしい作品ですね。応援しています、これからも無理しない程度に頑張ってください。 (2021年9月22日 2時) (レス) id: 0ba614db75 (このIDを非表示/違反報告)
病蛟(プロフ) - もっちーさん» 一期一振に関する誤字を教えていただき有り難う御座います。修正作業に取り掛かります故…これからもこの作品をどうぞよしなに、楽しめるような続きを投稿させていただきます。 (2021年9月11日 22時) (レス) id: 1220734e66 (このIDを非表示/違反報告)
もっちー(プロフ) - はじめまして!続き楽しみに待ってます!!それと一期が一護になってます! (2021年9月11日 19時) (レス) id: 5828451b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:病蛟 | 作成日時:2021年8月18日 23時