心が弱い審神者と刀剣男士 肆 【刀剣乱舞】

百五十九振り ページ41

「え？あ、ごめ、ごめん…大丈夫…じゃないよねごめんなさい……」
確かに見れば、少し窶れている気がする。頬が痩けたか。
──自分が憎いことこの上ない。
思わず手を握り込んだ。
するとそんな私に気が付いたのか、長谷部が大慌てで話し始める。
「…！も、申し訳ありません主！決して主を困らせたかった訳ではなく…！！ただ、嘘を吐くのは良くないと思…いえっ！主が本丸にお戻りになったので俺は凄く元気ですよ！！！」
「体調悪いなら体調悪いで良いんだよそんな無理しないで大丈夫だからあと本当に心配かけてごめんなさいぃぃ」
堪らず早口で返す。手がわちゃわちゃと意味もなく動き回る。
手を合わせて謝る私に、
「いえ！本当に、本当に俺は大丈夫ですので……！！主に要らぬ心配をおかけしてしまいこちらこそ本当に申し訳ないです…！！」
長谷部も謝ってくる。
「そんな…！そもそも心配を掛けた私が悪いんだから長谷部は謝らないで…！！こっちの方がごめんなさい」
「いえそんな本当に……」
皆がわいわいと食事を取る中、最早この二席だけ混沌としていた。
食事も取らずに謝罪合戦だ。
そうこうしているうちに「失礼します」と声が掛かった。一期だった。
「あれ、一期。どうしたの？」
一期の姿を認めるや否や、長谷部は凄い顔をした。それはなんて奴だ、と言いたげだった。
「時間になりましたので」
「時間？」
「主の隣の席を交代して食べましょう、という事を言っていましたので」
「あぁ成る程」
ポンッ、と手を叩く私に、長谷部は「すみません主」とまた謝ってきた。
「何で？！」
「要らぬ心配をお掛けしました。この通り俺は元気ですので！では」
声を掛ける隙も無く長谷部は去っていった。
また後日話にでも行くか、そう考える私の目の前から取り皿が消えた。
驚いて目を瞬かせる私に「何を取りましょうか？」と一期が問い掛けてくる。
「良いよ！自分で取るから！！」
慌てて皿を取り返そうとする──が座高も違えば腕の長さも違う。到底届かなかった。
くっ、これがリーチの差か。
「良いのです。たまには甘やかさせていただいてもよろしいのでは？」
「良いから本当に…！」
「主は何がお好きでしたかな。──あぁ、確かほうれん草のお浸しが好きで。取りましょう」
「要らない！本当に！！子供扱いしなくて良いから！！」
「何を仰いますか。主はまだ、未熟な、子供ですよ。間違いなく。それは。」

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