11.夢じゃない ページ13
ドアを開けて入ってきた人物に、私は驚愕するしかなかった。
え？嘘でしょ？なんでこんな所で…。
動画を何回も再生して、生放送もほぼ毎回聞きに行って、聞き慣れすぎたその声。
青い鳥で上がっていた自撮り画像のような茶色の髪の毛とパッチリした目。
…間違えるはずがない。
だってずっと追いかけてた人だから。
ずっとずっと憧れ続けていた人だから。
「…………」
私は言葉を発することが出来なくて、固まったままだった。
相手もなぜか何も言わなくなって、沈黙が続く。
「あ、もう1人って坂田だったのかー！」
沈黙を破ったのは天月さんで、少しわざとらしい大きめの声でさかたんに話しかける。
「とりあえず2人とも座って！せっかく来たんだから4人で話そ！」
「そ、そうだね！」
さかたんは動揺しながら天月さんに賛同する。
私も素直に元いた席に戻った。
「あ、坂田、こちらが如月さん」
天月さんに紹介されて、さかたんに、よろしくお願いします。と挨拶をする。
一見、平然としているように見えるが、もう心臓バックバクで破裂しそう。
「ど、どうも。はは初めまして！ああああああほの坂田です…」
「さかたん、緊張しすぎ」
まふまふさんがさかたんにリラックスだよ〜とか言っているが、さかたんはあまりリラックス出来ていないように見える。
私も内心あんな感じだよ。とか思いながら、私もさかたんに挨拶する。
「は、初めまして。如月です。いつも坂田さんの動画を楽しく拝聴させていただいております……」
「Aちゃん、固い固い」
やっぱり緊張は表に出てしまうのか、私も天月さんに注意されてしまった。
落ち着きを取り戻そうと思って、コーヒーを1口飲む。
「あ、如月さん。そのコーヒー好きなんですか？」
さかたんが話しかけてきた。
「え？ええまあ…。私、コーヒーはあまり飲まないんですけど、とても美味しくて今びっくりしてます」
「俺もそのコーヒー好きなんですよ！慣れてない人でも飲みやすいですよね」
「あっ！それ私も思いました！」
コーヒーのことで意気投合できて、緊張もお互い少し解けたところで、私はさかたんに1つのお願いをする。
「坂田さん。あの…さん付けじゃなくて名前で呼んでもらえますか？あと敬語もなしで」
「え？いいんですか？」
「年上の方から敬語使われるのは何か変な感じですしねｗ 本名は如月Aと言います。Aで結構ですよ」
「分かりま…分かった！よろしくな、A！」
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作者名：みずドラ | 作成日時：2018年6月16日 0時
