16話「たこ焼き」 ページ17
諏訪side
諏 「悪いな、遅くなって」
「別にいいよ」
今日は俺先生に呼ばれ、稽古の開始が少し遅れた。
なので、今日の帰り道は二ノ瀬を送ることにした。
諏 「けど、親御さんも心配する」
「そんな過保護じゃないから!それに諏訪くんにはテストで助けてもらったし・・・あ」
何かを見つけたのか、二ノ瀬が少しスピードを落とした。
視線の先には、スーパーの前に出ているたこ焼きの屋台車。
「最近食べてないな・・・」
そのつぶやきを聞いて、俺はいいアイディアを思いついた。
諏 「待っててくれ」
「え、諏訪くん!?」
二ノ瀬を残し、屋台車に向かう。
300円でプラスチックに入ったたこ焼きを受け取る。
「まいどー」
諏 「ありがとうございます」
熱いたこ焼きを手に、二ノ瀬のところへ戻る。
諏 「待たせた」
「ううん、大丈夫。そんなに食べたかったの?」
違う、これは・・・
諏 「これは、二ノ瀬のだ」
「え?」
二ノ瀬の手にたこ焼きを渡し、財布を鞄にしまう。
「え、私の・・・!?なんで?」
諏 「嫌いか」
「や、嫌いじゃないけど・・・いくら?払う」
諏 「いい。今日のお詫びだ」
「でも・・・なんか悔しいし」
諏 「悔しいってなんだ」
やっぱり、変な奴だ。
「・・・じゃあ、諏訪くんも食べるなら」
けど、変なところで優しい。
諏 「もらう」
一個手でつまみ、口にほうり込む。
諏 「熱っ」
舌が火傷しそうになって、口の中でころころと回す。
熱い。けど美味い。
涙目になりながら、二ノ瀬に「ぅまひ」と報告した。
二ノ瀬は笑いながら自分の口にもたこ焼きを押し込んだ。
「本当だ、あっつ・・・でも、おいしい。ありがと、諏訪くん」
もぐもぐと口を動かす二ノ瀬。・・・なんだ、変な感じがまた・・・
この前と一緒だ、違和感がする。
どうにかしたい。
「諏訪くん?」
諏 「・・・二ノ瀬」
距離を詰め、黒い瞳を覗き込む。
「なに、諏訪くん」
諏 「俺はあることに気づいたんだ」
「?うん」
正しいかどうかは分からないけれど、試してみる価値はある。
下手な鉄砲も数打ちゃ当たるだ。・・・ちょっと違うか。
でもまあいい。
二ノ瀬に聴かせられれば、それで。
息を吸い込み、ゆっくりと吐く。
諏 「俺はお前のことが好きかもしれない」
夏の蝉が、止んだ。
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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