#Ａ【想ってる】 ページ11
貴方side
朝 ｢せーんぱいっ｣
お試しをＯＫしてから一週間が経っていた｡
期限は３週間｡あと２週間だ｡
なぜこの話を受けたのかというと､ただ真剣に､"恋"という感情を知ってみたかったからだ｡
軽い気持ちで受けていいものなのか迷いはした｡
けど･･･このままでいたらいけない気もしたから｡
朝比奈には､全て話してあった｡
それでも､｢いいですよ｣と言ってくれた後輩に､応えられるようになりたい｡
『俺には無理だ･･･っ』
･･･もう誰も傷つけないように｡
朝 ｢せんぱい､先輩ってば！｣
｢！･･･あ､ごめん､何？｣
朝 ｢何見てたんですか？｣
｢･･･別に何も･･･｣
朝 ｢ふーん･･･あ､廣瀬先輩｣
｢！｣
反射的に顔を上げてしまい､後輩と目があった｡
朝比奈の目は､スッと細められる｡
朝 ｢･･･先輩｣
｢な､何？｣
朝 ｢先輩は､廣瀬先輩のこと･･･いえ､なんでもないです｣
なに､それ｡
｢私は､千尋のことなんだっていうの？｣
朝 ｢･･･｣
黙ったりして､ずるい｡
｢朝比奈！･･･！｣
気づけば､体は少し細い腕の中だった｡
朝 ｢･･･先輩｣
今までにないくらい低い声で｡
朝 ｢俺は､先輩のことずっと好きです｡ずっと･･･想ってる｣
･･･誰かを傷つけずに生きていける人間になりたい｡
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