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71. ページ23

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「君の実力も理解している。私も本気で行くとしようか」



到底人間の脳には処理不可能なその速さ。


急いで顔を上げるにはもう遅い。



驪駒の強烈な蹴りが、俺の顎を抉った。



「ガぁ、ッは……」



躊躇う余地なく吹っ飛ばされる。

受け身を取ろうとするも頭が回らず、顎に強い衝撃が与えられたことによる脳震盪だと理解する余裕はなかった。

そして再度放たれる強烈な蹴りを圧で感じ、咄嗟に重力を構えた両腕を交差させ正面から放たれた蹴りを受け止める。



「さぁ、これが貴君の望む本気とやらだ。
身に染みて感じるがいい。」



その言葉が耳に流れて脳にちょうど到達した時、俺の視界を蹴りが塞いだ。









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早鬼による光速の蹴りの音
それを今際で応戦する中也の拳
重力の法則を捻らせる異能力の残穢
彼女の攻撃打撃から噴き出る霊力のエネルギー



そして、それらを舞台装置に舞い踊る戦士の双方。



だが、その戦況は一方的と言えた。


圧倒的な種族の差と力で思いのままに殴り蹴る驪駒早鬼。

己の持つ強大な異能全てを駆使し応戦し相手の攻撃を全て防御する中原中也。



だが、今の中也の全力は早鬼の止めどない猛攻の防御で手一杯であり、攻撃にパワーを回すいとまはない。

スタミナ戦では相手が霊である死なない生力もない分、圧倒的に中也が不利だった。

それは、早鬼が傷を負えば一瞬で霊力で回復し実質無敵状態で殴っているのもあるし、彼女が霊であり飛べて実質重力無効というのが大きいだろう。

けれど、中也の重力を乗せた重い打撃が着実にダメージを重ねているのは事実だ。


だが、このまま泥沼戦を続けていればフルオートで重力を使い精神を焼き尽くした中也がスタミナ戦で白旗を挙げるだろう。

このままの状態では、中也の負けは明白であった。







(落ち着け……なんとしてでも首領は……そして、ポートマフィアは守ってみせる……
そして、姐さんの仇も……!!)





それならば、手段を選ぶいとまはない。




脳内でずっと避けていた選択を遂に掴む。








今ある全力を賭して、この黒馬に勝ってみせる。






心の中でそう決め、大きく距離を取る。

精神を集中させ、そのままその場所の雰囲気を神聖へと塗り替えた。









────
前話の中夜の早鬼に持ちかけた「賭け」というのは本気を出すということで互いの命、魂を曝け出せといった意図が含まれています。
早鬼もそれを読み取った上で本気で殴っています。

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設定タグ:東方Project , 文豪ストレイドッグス , クロスオーバー   
作品ジャンル:純文学
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作者名:颯貴@きっちょー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/  
作成日時:2021年7月18日 17時

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