6、部活終わり ページ6
「A〜!帰るぞっ!」
部活が終わり、女バレがグランドから退散しようとした時だった。
あのうるさい馬鹿が現れたのだ。後ろには何故か男バレレギュラーもいる。
「岬姉と帰りますよ?」
「なっ、いつも一緒に帰ってるだろ?!」
「いえ、いつも岬姉と帰ってます」
「そんな真顔で言うなよ!赤葦みてぇ」
のってくれないAに突っ込みを入れるが、周りは当然呆れ顔だ。
「え、じゃあもう一回お願いします!」
いや、一名いた。Aはまたよく分からぬつぼで笑い始める。
「いつも一緒に帰ってるだろ?!」
それでまた木兎も同じ言葉を繰り返す。
Aも考える暇なく同じ言葉で返した。
「いえ、いつも岬姉と帰ってます」
はめられた木兎は子供のように口を尖らせるが、Aにとって、それは笑う他ない事だ。
実際、“腹筋壊れる”などと過呼吸気味で笑っている。
「木兎さん、もう帰りましょう。余り遅いと明日のプレーに支障が出ます」
赤葦にそう言われると、木兎は小さく文句を言い始める。
「木兎。明日の朝までの課題は終わったのかしら」
だが岬が鋭く呟くと、木兎は口を閉じる。加えて、今にも自分に襲いかかって来そうな獣を見るかのような顔をする。
「終わったのかしら?」
中々返事をしない木兎に、岬はより圧をかける。
すると、がくぶると震えながら首を横に振った。
「じゃあする事は分かってるわね。……分かってるわよね?」
次は何度も首を縦に振った。何とも忙しい奴だ。
「それにしても、俺達が自主練やってこんな時間なのに、女バレはまだ活動してたんだな」
「まぁその代わり今日は自主練は控えろって言われてるよ」
「もう暗いしねー」
小見が感心したように言うと、砂上と巻屋が返す。
だが若干三人とも早口である。
そう、もう木兎以外は帰りたいのだ。腹も減っているは、眠いは、明日の課題もあるはで高校生は忙しい。
それを邪魔されてはイライラもする。
「じゃ、帰るか!女バレもお疲れー」
木兎の様子を見て、今が頃合いだと感じたのか、木葉が一足先に背を向ける。
「お疲れ様でーす」
こうしてぞろぞろと帰って行くメンバー。木兎も渋々赤葦に連れられて歩いて行った。
Aも岬と帰ろうとすると、正門に夏目が立っていた。
「あ、お疲れ。一緒に帰ろ?」
先程は岬と帰るからと断ったが、もちろん彼氏なら話は別だ。
岬も口を挟まず、方向が一緒の広川と帰って行った。
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作者名:もやし | 作成日時:2020年10月22日 23時